コマ数が多くなった事業者用に「高速型」も用意される
EM92型は今までのオージ製表示機のリニューアル機であると同時に最終形である。材質がアルミ合金になり側板の肉抜きが無くなった。さらに上下の芯棒が脱着可能な構造になったのもこの形式。それまでは一部の事業者でのみ下の芯棒だけが取り外せる構造だった。
また側面表示機はワイド幕が主流な時代となり、表示段数も増えてきて幕の収納時の厚さが許容範囲を越えてきたため「厚型」の表示機が出現し、前面幕表示機と同じ厚さの側面ワイド幕表示機が誕生した。
今までとは違ってEM92型は穴検知式と箔検知式のどちらも選択可能で、穴検知式はEM75型の穴の位置が同じため互換性があるが、箔式は検知機の精密化のため大きさと形が変わり互換性は無くなったが基本構造は同一である。
そしてコマ数が多くなってきた事業者用に「高速型」の制御機が登場した。EM75型とEM82型は1コマずつ進段しては停止する「各段停止」仕様しかなく、コマ数が多い事業者はコマ間が離れているコマ番号を指令するときは幕を変え終わるまでに数分かかることがある。
高速型制御機は指定したコマ番号まで無停止でコマ送りをするため幕を変える時間短縮になった。この高速型制御機は番号設定式(任意のコマ番号を指令機で設定するとそのコマまで進段させる)のみの設定で、各段停止型は番号設定式も目押し送り式(運転席にある上下ボタンを押して1コマずつコマ送りをする)のどちらも設定がある。
オージ製方向幕表示機は前述の通り、東京都内の事業者に集中的に採用事例があるが埼玉、千葉、神奈川、茨城でも採用例が多く、関東以外の他県だと青森市交通部、南部バス、秋田中央交通、伊丹市交通局、広島電鉄、広島バス、広島交通、土佐電気鉄道、佐賀市交通局、熊本市交通局のほとんどの車両がオージ製方向幕表示機をメインに採用をしていた。そのほとんどの事業者がLED表示機でもオージ製を採用しているのは長年の信用と愛着であると思わざるを得ない。