LED表示以前の懐かしいモーター駆動のバスの方向幕を紹介する「方向幕の世界」。今回は宮城県の事業者を振り返る。
宮城県を走る大手バス事業者は大きく分けて「仙台市交通局」と「宮城交通グループ」であり、前者は仙台市内周辺を、後者は仙台市内から郊外と県内全域で路線網を持っている。
この2社局の方向幕は違うようで似ている、という不思議な感覚を覚える方向幕である。今回はこの2社局の方向幕を紹介。
文・写真/高木純一
※2019年1月発売「バスマガジンVol.93」より
【画像ギャラリー】違うようで似ている!? 宮城県の大手2社局の方向幕
番号が青ヌキで統一されている仙台市交通局
杜の都とよばれる宮城県の中心地、仙台を走る仙台市交通局。同局の方向幕は前面に系統番号があるが、側面・後面には記載されないという仕様であり、番号は青ヌキで統一されている。
早くからローマ字併記の幕であったがやはり前面のみであり、側面幕は黒文字ローマ字なしで統一されている。後面幕は系統番号なしとローマ字なしであるが経由地は青文字で書かれているところは前面幕と共通だ。
系統番号は方面別東西南北を表すアルファベットが付き、N5-9やE18-2と枝番号が付く。市内中心部向けのみアルファベットの記載が無く、1系統はすべて仙台駅行きになっており2以降は仙台駅を経由し市内中心部での終点になっている。
経由地違いによる色分けはあまりなく系統番号によって分けられているようだ。一部難読路線にはルビ振り(ひらがな併記)があり珍しい。略称も多く「営業所」は(営)と表記され、地下鉄駅は「地」とベタで書かれているのも特徴だ。
表示機はS-Light(現レシップ)製バーコード検知式を採用していたが昔は都営バスでおなじみの羽深式を採用していた。
カラー幕で色分けがされている宮城交通グループ
仙台市営バスと共に仙台市内に路線を多数持つ宮城交通は系列会社も含めて県内最大のバス事業者だ。車両のカラーリングを見てお分かりだと思うが中部地方の名鉄グループの事業者だ。
宮城交通の方向幕は古くからカラー幕による色分けがされている。仙台駅前行きが紺色で方面別に青色、緑色、茶色、オレンジ色、紫色と多彩に分けられている。
系統番号の記載は一切なく、ローマ字併記の幕も全く無い。郊外路線の行先は黒文字のみとかなりシンプルに作られており地域ごとに経由表示が微妙に異なっていたりする。
前面と後面は同じレイアウトでカラー幕だが側面幕だけは黒文字のみの幕であり急に色気が無くなる。実は宮城交通の側面幕と仙台市営バスの側面幕は全く同じレイアウトになっている。
また前面・後面幕の経由地に仕切り線を書くのも共通部分であり幕の裏にはコマ番号が必ず書かれており、さらには印字メーカーまで同じという何とも不思議な取り合わせなのだ。
市内路線では市営バスを意識して共通な表示をしているものと思われる。表示機は名鉄グループなので東洋ライト工業製のマーク検知式を採用しているが幕幅は名鉄バスとは異なっている。古くから中古車を導入しているため中古車にはその車両が使っていた表示機に合わせて幕を作っていた。