福島県の福島交通は、2025年現在も車齢30年を超える旧車を現役で維持している貴重なバス事業者であるが、そのほかの車両ラインナップに注目すると、こちらもまた個性派が揃っている。
文・写真:橋爪智之
構成:中山修一
■旧車を大切にするバス事業者
以前の記事で、奇跡的に生き残っている30年選手の初代エアロスターMP218をご紹介した福島交通。
現役の初代エアロスターが複数台残っていることも驚きだが、これらよりさらに古い1991年に納車された、初代エアロバスMS725も残っており、最近になってリニューアル工事も行われた。
乗務員や整備士など、社員全員が古いバスを大事に扱っていることが伺える。
初代エアロスター、エアロバスともに、全国を見渡しても現存する車両はほとんどないような超古参車両たちは、自家用車で言えばヴィンテージカーのようなもの。
今後も是非大切に保存していって欲しいと思うが、一方でそれ以外はどのような車両が活躍しているのだろうか。
■多彩なメーカーの車が活躍中
福島交通は、三菱自工が同社の大株主である関係から、以前から三菱ふそうとの縁が強く、以前は三菱ふそうの車両ばかりだった。
同社は自社発注の新車だけではなく、東京都交通局や東急バスなど、首都圏の事業者から中古車も導入していたが、それらの車両も当初はふそうの車両であった。
しかし、2009年に初めてJ-BUS(いすゞ・日野)製の車両が導入されて以降は、中古車も含めて他メーカー製の車両も導入されるようになった。
一時期は日産ディーゼルの車両も見られたそうだが、既に福島交通からは姿を消し、現在は3社の車両が活躍している。
■福島交通の車両ラインナップを駅前ウォッチ!
2025年夏、実際に福島駅東口前に立って、出入りする車両を観察してみた。
福島交通に尋ねたところによると、福島支社に残る初代エアロスターは、基本的に町民バスなど郊外で使用されることがほとんどで、福島市内の路線で使われることは少ないようだ。
よって、福島駅前で見られる車両たちは、それよりも新しい世代の車両だけになる。もっとも、新しいと言っても初代エアロスターが2代目へ移行したのは1996年…初期製造車なら2代目ですらまもなく30年を迎える古参車両だ。
見かけた2代目エアロスターの中でも、特に古かったのは、1998年製のKC-MP317Kで、自社発注車の特徴でもある前後ドアを採用している。
少々色褪せているが、27年目の車両にしては、状態は悪くない。「福島22」という、分類番号2桁のナンバープレートも泣かせる。
■元・神奈中バスの魅力がここにも
他のエアロスターは、いずれも他車からの譲渡車で、東京都交通局や神奈川中央交通からの移籍車が多かったようだ。
現存する車両の多くは神奈中の車両のようで、ごくわずかに東急バスや横浜市交通局、小田急バスの車両も残っているようだ。
神奈中車両の特徴と言えば、助手席側確認窓を省略して設置された運賃前払い/後払い表示窓で、福島では使わないため、埋められた跡が残っていて、これが神奈中出自の車両と見分けるポイントになっている。
なお、この表示窓は他の車種にも付いているので、日本全国どこへ行っても、どんな塗装に塗り替えられ擬装されても、一目で「神奈中車」と分かってしまうのは面白い。
 
    







 
                                 
                                 
                                 
                                 
                         
                         
                         
                         
                         
             
                     
                     
                     
                     
             
             
             
             
            
コメント
コメントの使い方