東日本大震災から10年 気仙沼線・大船渡線BRTの成長

■所要時間を短縮した気仙沼線 大船渡線は快速の経路を変更

待合室のある駅に設置されたバスロケーションシステムの液晶表示。バスの現在位置と運行状況を知らせてバス待ちのイライラを解消している
待合室のある駅に設置されたバスロケーションシステムの液晶表示。バスの現在位置と運行状況を知らせてバス待ちのイライラを解消している

 気仙沼線BRT開業時のダイヤは、柳津~気仙沼間15往復、陸前戸倉~気仙沼間下り1本、志津川~気仙沼間下り5本、上り3本、本吉~気仙沼間12往復(一部は土日祝日運休)で、本吉~気仙沼間は日中でも30分間隔という高頻度の運行。

 また柳津~気仙沼間の所要時間は最速1時間56分だった。15年6月には一部の便をJR石巻線の前谷地(まえやち)駅まで延長している。

 現在のダイヤは前谷地~気仙沼間5往復、柳津~気仙沼間10往復、陸前戸倉~気仙沼間下り1本、志津川~陸前小泉間快速上り1本、志津川~気仙沼間下り6本、上り3本、本吉~気仙沼間下り13本、上り16本(一部は土日祝日運休)で、開業時の運行間隔を維持。

 また柳津~気仙沼間の所要時間は最速1時間46分となり、専用道の延伸により10分短縮されている。

 大船渡線BRT開業時のダイヤは、気仙沼~盛間快速5往復、各停下り7本、上り6本、気仙沼~高田間1往復、陸前矢作~盛間下り13本、上り15本、陸前矢作~高田間下り5本、上り4本。快速は高田病院~下船渡間を国道45号経由でショートカットしていた。

 現在のダイヤは気仙沼~盛間快速下り8本上り7本、各停下り7本上り5本、気仙沼~陸前高田間快速上り1本、陸前矢作~盛間下り10本、上り14本、陸前高田~盛間下り2本、陸前矢作~陸前高田間下り9本、上り6本(一部は土日祝日運休)で、専用道の延伸により快速を陸前今泉・高田高校前・高田病院通過に変更。

 平日朝には気仙沼線BRTの本吉行き1本を鹿折唐桑始発で運行する。

■現在の稼働車両は3種類35台 今年は自動運転の走行試験も

波穏やかな大船渡湾を車窓に望みながら、細浦~下船渡間を快走する気仙沼行き。小友~大船渡間の専用道は2013年9月から使用を開始している
波穏やかな大船渡湾を車窓に望みながら、細浦~下船渡間を快走する気仙沼行き。小友~大船渡間の専用道は2013年9月から使用を開始している

 車両はすべてバリアフリー仕様である。12年8月の気仙沼線BRT暫定運行開始の際には、首都圏の事業者からいすゞキュービック(KC‐LV280L)と日野ブルーリボン(KC‐HU2MLCA)のワンステップバス計18台を購入。

 このうちブルーリボン2台は14年に内装・外装をカラフルな観光型に改造のうえ、気仙沼線と大船渡線で1台ずつ使用した。

 気仙沼線BRTの本格運行を開始した12年12月には、日野ブルーリボンシティハイブリッド(LNG‐HU8JMGP)のノンステップバス14台を新製。大船渡線BRT開業前後の13年1月と4月にも、同型車両を大船渡線に8台、気仙沼線に4台増備している。

 13年6月には大船渡線用としていすゞエルガハイブリッド(QQG‐LV234N3)のノンステップバス4台を導入。14年4月にはいすゞエルガミオ(LR290J1)を改造した電気バス「e‐BRT」1台を採用している。

奇跡の一本松付近を行く盛行き。津波で大きな被害を受けた「道の駅高田松原」は2019年にリニューアルオープンした
奇跡の一本松付近を行く盛行き。津波で大きな被害を受けた「道の駅高田松原」は2019年にリニューアルオープンした

 さらに、19年8月にはカラーLED表示器を装備した日野ブルーリボンハイブリッド(2SG‐HL2ANBP)を大船渡線に1台、気仙沼線に4台配置している。

 今年1~3月にはこのブルーリボンハイブリッドの同型車を使用して、自動運転レベル3(一定の状況下で緊急時以外の運転操作を自動制御)認証取得を目指した走行試験を実施。夏には地域住民を対象にした試乗会も予定されている。

 BRTの特性を生かしたさらなる成長に向けて、新たな一歩を踏み出すことになりそうである。

※この記事は大好評発売中の最新号、バスマガジンvol.106からの転載です。

沖縄市を中心に運行する那覇バスを特集!! |バスマガジン106号

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