ひとつのバス事業者を掘り下げて紹介する、バスマガジンの名物コーナー、バス会社潜入レポート。今回は2018年に遡って、1月発売号で掲載した東海バス編を振り返って紹介する。
東海バスグループの高速バスはビジネス、観光、生活とあらゆるニーズで活用されている『ドル箱路線』だ。2系統の路線があり、三島駅とバスタ新宿を結ぶ[三島エクスプレス]そして修善寺駅とバスタ新宿をむすぶ[伊豆長岡・修禅寺ライナー]だ。
いずれも高速車は三菱ふそう車ら統一されているが、貸切車は3メーカーがラインナップされている。
(記事の内容は、2018年1月現在のものです)
構成・執筆・写真/加藤佳一(B.J.エディターズ)
※2018年1月発売《バスマガジンvol.87》『おじゃまします! バス会社潜入レポート』より
(東海バス特集 その2)
■幹線系統でも中型低床車が主力移籍車は小田急グループが中心
●ラブライブ号
東海バスグループ5社を合わせた2017年11月30日現在の車両数は、乗合247台(高速車8台、定観車5台含む)、貸切53台、計300台となっている。
メーカー別に見ると、いすゞ121台、三菱ふそう90台、日野89台である。運行会社分社後も車両は東海自動車が一括して調達しているため、仕様はグループ全体で統一されている。
一般路線車の主力は中型車で、従来のトップドア・ツーステップバスに代わり、01年からノンステップバスを採用。2006年以降はワンステップバスに統一された。しかしメーカーの車種統合に伴い、2016年から再びノンステップバスを増備。この車両は東海バス初の2ペダル(AMT)仕様となっている。
かつてトップドアの大型エアサス車が活躍した西伊豆や中伊豆の幹線系統にも、近年は中型ワンステップバスを運用。2016年には天城峠線の中型車5台にサイクルラックが取り付けられた。
この結果、東海バスらしい観光マスクのトップドア路線モデルは、日野HUと三菱MPが数台ずつのみとなった。一方で2007~2010年には、少数ながら大型ワンステップバスが採用されている。
1990年代に登場したレトロ調バスの草分け的存在「リンガーベル」や「トロピカーナ」など、ユニークな車両たちはすでに退役。しかし1976年に路線バスとして復活し、ボンネットバスブームのきっかけをつくったいすゞBXD30「伊豆の踊子号」は、定期運用こそないものの、いまも現役である。
2002年に熱海・三島・沼津地区の路線移管を受けた箱根登山鉄道(現在は箱根登山バス)からは、以降、車両の移籍が続いている。
当初は登山カラーのまま使用される車両も見られたが、近年の移籍車はすべて塗り替えられている。登山の車両もトップドアのツーステップバスからワンステップバスやノンステップバスへと変化したため、外観的には自社発注車と類似している。
このほか、同じ小田急グループ内の神奈川中央交通や小田急バスからも、断続的に車両の移籍が続いている。