出勤指定時刻が「7時23分」と小刻みなのはなぜ? 路線バス運転手の知られざる業務実態

出勤指定時刻が「7時23分」と小刻みなのはなぜ? 路線バス運転手の知られざる業務実態

 みなさんこんにちは。路線バス運転手の運屋フランクです。昨今、TVで路線バスの番組が人気を集め、路線バスの認知度が上がっています。ありがたいですね。

 しかし、運転手の1日の業務はあまり特集されないので、その実状はベールに包まれたままです。「休めないんでしょ?」「キツイんでしょ?」といった声は相変わらず多く聞こえます。

 今回は少しでも業務内容を知っていただきたく、実際の1日の流れを解説します。路線バス運転手はある意味、レーシングドライバーと同じプロドライバー。そこでちょっとモータースポーツ風に路線バス運転手の“ルーティン”にフォーカスしたいと思います。

文/運屋フランク、写真/Adobe Stock(トップ画像=hedgehog94@Adobe Stock)

【画像ギャラリー】こちらのプロドライバーはタイムを縮めたらアウト!? 知られざる路線バス運転手の1日(6枚)画像ギャラリー

■分単位でタイムスケジュールが決められている理由とは?

タイスケには路線のダイヤや休憩時間等、1日の業務の全てが書かれています(leungchopan@Adobe Stock)
タイスケには路線のダイヤや休憩時間等、1日の業務の全てが書かれています(leungchopan@Adobe Stock)

 大前提として路線バス運転手は会社員。1日の労働時間が決まっています。それを基準に基本給があり、基本プラス時間外手当や距離手当などが加算されます。

 一般的な会社と違う点は定時という概念がない点。日によって出勤・退勤時間も違い、分単位で決められています。例えば「7時23分出勤」といった具合に。

 なぜ出勤時刻等が違うかというと、担当路線の1本目に時間を合わせているからです。運転手は出勤後にバスの日常点検と出発点呼を受けるのですが、この時間も決められています。レースでいうスタート進行がまさにこれ。

 レースもタイムスケジュールが細かく組まれていますが、路線バス運転手も細かいタイムスケジュールに従って業務を行うわけです。

■アルコールチェックから始まるスタート進行

出発前の点検は法律上の義務です。異常があれば予備車、いわゆるTカーに乗り換えます(smspsy@Adobe Stock)
出発前の点検は法律上の義務です。異常があれば予備車、いわゆるTカーに乗り換えます(smspsy@Adobe Stock)

 それでは1日の流れを追ってみましょう。まずはレースでいうところのスタート進行です。決勝のグリッドに向けてマシンが最後の調整をします。

 出勤後、最初にアルコール検査を行います。検知器に息を吹きかけ、ここで0.01mgでも検知されるとその日は出走できません。懲戒問題となり減給といった重いペナルティも待ち受けます。

 無事アルコールチェックが終わると、その日ドライブするマシンの点検を行います。レースでいう出走前点検ですね。タイヤとホイールの状態、エンジンオイルの容量、灯火器などをドライバー自ら確認します。

 点検が終わったら運行管理者から出発点呼を受けます。注意事項が伝達され、これを終えて初めてコースインできます。この点呼はまさにレースでいうドライバーズミーティング。運行管理者はレースディレクターですね。

次ページは : ■セッションスタート! でもタイム短縮は御法度

最新号

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

バスマガジン Vol.126は9月20日発売!! 美しい写真と詳細なデータ、大胆な企画と緻密な取材で読者を魅了してやまないバス好きのためのバス総合情報誌だ!!  巻頭の[おじゃまします! バス会社潜入レポート]では、東急バスを特集。東京都から神奈川県において都市部から住宅地、田園地帯まで広いエリアを綿密なネットワークを展開、さらに高速路線バスやエアポートリムジンも大活躍。地域住民の足としてはもちろん、首都圏の動脈ともいえる重要な存在だ。  続く特集は、ついに日本に上陸しさらに種子島での運行が決まった、ヒョンデの電気バス[ELEC CITY TOWN]の試乗インプレッション。日本におけるヒョンデの本拠地である横浜・みなとみらい地区で、徹底的にその性能を確認した。  バスの周辺パーツやシステムを紹介する[バス用品探訪]では、なんと排出ガスからほぼ煤が出なくなるというエンジンオイルを紹介。この画期的な商品「出光アッシュフリー」について、出光で話わ聞いてきた。  そして後半カラー特集では、本誌で毎号、その動向、性能を追跡取材してきた「カルサンe-JEST」。このトルコ製小型電気バスがついに、運行デビューを果たした。その地は長野県伊那市と栃木県那須塩原市。今後の活躍が期待される出発式を紹介する。