空いていればシルバーシートでも座りましょう!!
シルバーシートはお年寄りや体調不調の人などの優先席として、日本の公共交通機関ではしっかりと認識されており、ほとんどの乗客がこのルール、マナーに従って乗車している。たとえ空席でも空けたままで立つ人がいるほど、日本人のモラルは素晴らしい。
しかしバス運行者の目線としては、“どんなに若くて元気一杯の人でも、空いていたら座って欲しい”というのが本音だ。車内事故でケガをする危険性を孕んでいるのは、何もお年寄りばかりではないためだ。バスは便利で安全、効率的なな乗り物だが、前述のハプニングが起こりやすい乗り物でもあるのだ。
同じ公共交通機関である鉄道なら、ほぼ定められたクローズド空間である軌道を走るため、バスよりはここで言うハプニングが起きる可能性は低いだろう、ということはイメージできると思う。鉄路には原則的に、歩行者、自由に動く自動車、自転車、作業者などがいないためだ。
鉄路というインフラが不要で、自由に走ることができるバスは、それであるがゆえのデメリット、リスクを持つ存在だ。乗り合いの路線バスは決められたルートをダイヤに従って運行しているが、たとえば違法駐車車両をよけたり、道路信号に従って停車・発進をしたり、といった道路の規制や勃発する現象に対処しなくてはならない。そのため、“自由に走る”ことができる能力が必要なのだ。
すべての自動車が同じ条件と言えるが、バスの特殊性は前述のように“立って乗る”ことが許された自動車であること(一般乗り合いバス)。そのために生じる車内事故とは、現状、残念ながら切っても切れない関係にあるのだ。
細心の注意を払っていてもおきてしまのが事故
さて、車内事故が起きてしまったら、これは基本的にドライバーの責任となる。事故の対処がされるし、バス会社でも補習などの追加訓練が課せられることになる。
そして何より、そのバスに乗り合わせた乗客は、事故処理のための時間ロスに直面し、それぞれ自己のスケジュールを果たせなくなってしまうのだ。良いことなど何ひとつない。
だから、車内事故は起こしてはならないし、誰に対する何のメリットも無い。運転のプロであるドライバーは言うまでもなく細心の注意を払って運転しているので、乗客としてバスに乗る場合には、乗客としての安全確保行動に従事していただければ幸いだ。
走らなければ安全!! これは冗談で言っているわけではない
一般路線バスに乗ったら、可能な限り着席。立っている場合は吊革や手すりをしっかりと握る。手すりには抱きついたっていい。難しいことは何もない、自己を守るための安全対策だ。
さて、知らない人もいるかもしれないが、基本的にバスドライバーはすべての乗客が上記のような自己安全対策を講じていなければ、バスを発進させないことになっている。いうまでもなく、危険だからだ。そしてこんなに簡単な行為を果たせない人に対する責任を取らされる羽目にもなる。
お年寄りは着席した。車イスの乗客もハーネスで固定して安全だ。買い物帰りのエコバッグを持った主婦たちも、手すりに腕を巻き付けて安定して立っている。そんな中でどこにもつかまらずに、一心不乱にスマホをいじっているような乗客がいたとしたら、バスは発車する義務を負わないのだ。
そのスマホ客が気づいて、安全対策をとるまで、アナウンスで警告しながら待つ。それでも応じない場合は、運行妨害行為として下車を指示することも可能だ。事実、過去に安全行為を怠って騒いでいる小学生のグループがいたバス車内で、その時のドライバーはバスを発進させずにアナウンスで促した。
周囲の乗客が小学生グループに注意することで彼らも従い、事なきを得たが、この場合のドライバーの行為は正しいものといえる。もちろん運行の障害にはなるのだが、安全を最優先させた正しい姿だった。
バスの運行を健全・正常に行うため、またケガ人が出るなどといった不幸なことを起こさないためにも、バスに乗車する際には車内事故を意識し、十分注意して安全行動をとっていただきたい。
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