あんまり知らないかも……路線バスってどこのメーカーが作ってるの?

外車が復活!? 国内ブランド転換期

コミュニティバスとして人気の高いポンチョのメーカーは日野
コミュニティバスとして人気の高いポンチョのメーカーは日野

【1980〜2000年代】
●いすゞ自動車→いすゞジェイ・バス
●日産ディーゼル工業
●日野自動車工業→日野自動車→日野ジェイ・バス
●三菱自動車工業→三菱ふそうトラック・バス
●ネオプラン(ドイツ)
●メルセデスベンツ(ドイツ)

 合併や技術提供などにより、自社ブランドでのバス車両製造を取りやめる企業が出始め、表立ったメーカーの数が一気に絞られた年代と言える。技術の進歩によって、それまでは実現の難しかった低床車の普及や、連接車体のような特殊構造を持つ車両を路線バスに採用するにあたって輸入車が選ばれ、日本車の独壇場に変わっていた路線バス界に外車が“復活”を遂げたのも、同年代を象徴する出来事だろう。

厳選されつつある?バスメーカー

【2010〜2020年代】
●いすゞジェイ・バス
●日産ディーゼル工業→UDトラックス(〜2011)
●日野ジェイ・バス
●三菱ふそうトラック・バス
●ネオプラン(ドイツ)
●BYD(中国)
●メルセデスベンツ(ドイツ)

 「最近」と呼べるくらいの年代になると、さらにメーカーの数が絞られ、より厳選された印象を持つ。2022年現在で路線バス車両を製造しているメーカーは、いすゞ、日野、三菱ふそうの3社である。輸入車では、中国のメーカーであるBYD製のEVバスが、日本市場に初上陸を果たしている。

上と下、別々なんです

三菱ふそうと日産ディーゼルの路線バスだが、ボディは富士重工製(現・スバル)。2003年までバスボディを製造していた。左から3Eボディの三菱K-MP118M、5Eボディの三菱K-MP118M、7Eボディの日産ディーゼルU-UA440HSN
三菱ふそうと日産ディーゼルの路線バスだが、ボディは富士重工製(現・スバル)。2003年までバスボディを製造していた。左から3Eボディの三菱K-MP118M、5Eボディの三菱K-MP118M、7Eボディの日産ディーゼルU-UA440HSN

 1台のバス車両も、実は1箇所で車両全体を完成させるわけではなく、シャーシなどの下回りとボディの上回りを、それぞれ別のメーカーで製造して組み合わせるのが普通だ。

 これまでに紹介したメーカーは下回りを担当する企業にあたるので、切っても切れない存在であるボディ担当の主要メーカー(コーチビルダー)一覧と簡単な変遷も併せて記しておきたい。

【黎明期〜1940年代】
●倉田組鉄工所
●東浦自動車工業
●柳瀬自動車
●脇田自動車工業

【1950〜90年代】
●金沢産業→日野車体工業
●川崎航空機→川崎重工→いすゞバス製造
●北村製作所
●呉羽自動車工業→三菱自動車バス製造
●帝国自動車工業→日野車体工業
●西日本車体工業
●富士重工業
●三菱重工業→三菱自動車工業→三菱自動車バス製造

【1990〜2000年代】
●いすゞバス製造→ジェイ・バス
●北村製作所(〜1995)
●西日本車体工業
●日野車体工業→ジェイ・バス
●富士重工業(〜2003)
●三菱自動車バス製造→三菱ふそうバス製造

【2000〜10年代】
●ジェイ・バス
●西日本車体工業(〜2010)
●三菱ふそうバス製造

【2020年代】
●ジェイ・バス
●三菱ふそうバス製造

 シャーシメーカーとは異なる専門メーカーがボディ製造を行う図式が黎明期から続き、1950年代に入るとシャーシ製造と同系列のボディメーカーも現れている。シャーシメーカーと同じく、ボディ専門メーカーも合併や技術提供などによって年々数が絞られていき、2010年を最後に日本国内のボディ専門メーカーは姿を消している。

 2022年現在でボディを製造するのは、ジェイ・バスと三菱ふそうバス製造の2社。厳密には別会社なのだが、シャーシと同じブランドを冠するメーカーのみが残っているという点では、上下別々だったバス作りの慣例に終止符を打ったと言える。

 今日では少数精鋭なイメージ、歴史を振り返れば結構な数があったバスのメーカー。知らないままでも特に影響はないと思うが、頭の片隅に置いておくものもまた一興。ざっくりでもメーカー名が分かると、路線バスに乗るのがちょっと楽しくなるかも!?

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