バスの車両は用途や目的によって形や設備がかなり違う。例えば路線バスは路線バス、高速バスは高速バスで独特の姿形をしているため、それぞれ別物として見る機会が多い。
そのようにジャンル分けをした際、バス車両をメーカーやモデル名のようなピンポイントな段階まで行ない、型式問わずそのジャンルのクルマを指す「総称」で言いたい時は、どう表現するのが簡潔で程よいだろうか。
文・中山修一
写真:中山修一/バスマガジン編集部
決まりはないが、こう書ける!
バスのジャンル別総称に関して、法律やバス業界の関係各位が推奨や指定しているものは特にないようだ。そうなると、バスファンの間で区別をつけるためによく使う、いわゆるファン用語を当てはめるのが近道だろう。
各総称と、それぞれ該当する車両の特徴を一緒に見てみよう。
(1)路線バスの車両 → 路線車
一般道路を走る普通の路線バスに使われる車両を一括りにすると「路線車」になる。
背丈がやや低めの四角いボディ。前後と横に行先表示器、出入口のドアが前方に1箇所又は前後(中央)に2箇所以上あり、固定式シート、吊り革と手スリ、降車ボタン、運賃箱、運賃表示器などが付いている。
要するに街中で見てすぐ路線バスだと分かるクルマの大半が路線車の枠組みだ。
(2)高速バスの車両 → 高速車
一般道と高速道路を決まった時間に沿って走る長距離向けバス車両の場合「高速車」で纏めると分かり易い。
路線車よりも背が高く、出入口のドアは1箇所。前後と横に行先表示器が付いている。車内にはリクライニングシート、荷物棚、降車ボタン、運賃箱、運賃表示器などが見られ、トイレが付いている車両もある。
全てのクルマではないものの、車外ドアの近くに「乗合」や「一般乗合」の表記が見られるのも識別ポイントだ。
都市と都市を結ぶ長距離バスや高速バス・空港アクセス便などの定期乗合バスに使われる車両の殆どが高速車にあたる。
(3)観光バスの車両 → 貸切車
観光バスの車両は観光車になるのかと言えばそうでもなく「貸切車」で表すのがメジャーだ。観光バスは催行者が一旦バスを丸ごと借り切った上で集客する流れがキホンとなっており、それが総称の由来とみられる。
高速車と同じくらいの背丈で、出入口のドアは1箇所。ヘッドライトの間にバス事業者名のプレートが飾られている。
リクライニングシート、サロンコーナー、荷物棚、モニター装置、カラオケ設備、DVDプレイヤー、冷蔵庫、ビンゴゲームほか、路線車・高速車に比べると豪華な車内設備を持つのが特徴だ。トイレ付きは珍しい。
高速車と同様ドアの近くに表記があり、貸切車は「貸切」と記されている。
学校の遠足や修学旅行、景勝地巡り、スキーツアーetc……旅行会社主催の旅行商品向けに手配される、高速バスとよく似た形のバス車両=貸切車と考えれば大体OKだ。
ちなみに「はとバス」のように運行日程が決まっている観光バスは、貸切ではなく路線バスの一種なのだが、車両のスペックは貸切車とほぼ同じだ。
また、運用上の話では、路線車が貸切バスに使われたり、貸切車が高速乗合バスに充当されたりする場合もある。
路線車・高速車・貸切車。この3つの枠組みを作って、それぞれの特徴を踏まえておけば、超複雑で難解に思えたバスのジャンル分けがグッと簡単になるかも!?
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