路線バス界で「もやし」ブームだと? 愛しの胴長短足・中型ロング車の素顔を探る

どんなクルマだったのか

 日産ディーゼル、三菱ふそう、日野自動車、いすゞ自動車(OEM)の4社が中型ロングを手がけた。どのメーカー製も全長約10.5m、ホイールベース5.5m程度という、大型路線車と大差ない寸法で作られている。

 全長が大型級なら大型路線車にクラスチェンジしても良さそうだが、幅は中型サイズの約2.3mのままで、大型よりも20cmほど狭い。そのため車体が極端に細長く見える。

 さらに、タイヤサイズも一般的な全長9mクラスの中型路線車と同じ、大型路線車用より外径の小さいものが指定されている。

 ボディの長さとタイヤ径のバランスがチグハグで、真横から見ると胴長短足ぶりが顕著。かっこ良いかどうかは人によって変わるだろうが、いずれにせよ中型ロング車の特徴の一つだ。

径の小さいタイヤが長さを際立てる
径の小さいタイヤが長さを際立てる

 独特な外観から「もやし」や「うなぎ」のような、細長いものに例えたアダ名が付けられている。タイヤを脚に見立てれば「ダックスフント」にもなる。

今も使われている?

 製造中止になって10年以上が経ち、どれも旧年式に達している中型ロング車であるが、2023年1月現在もまだ使っている事業者は各地にある。

 今も見られる車種では、日野自動車の「レインボーHR」が大半を占める。ちょうどブームと重なる2000年代前半に作られた車両が多いようだ。

 新車導入してそのまま使い続けていたり、首都圏の事業者から移籍してきたりと、バス車両ごとの履歴はまちまちである。

 外見のアンバランスさが珍妙であり魅力でもある中型ロング車。車齢を考えればいつ引退してもおかしくないが、見る・撮る・乗るチャンスはまだあるので、取りこぼしのないよう楽しんでおきたい。

【画像ギャラリー】旧いながらも依然現役!! 中型ロング車(5枚)画像ギャラリー

最新号

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

バスマガジン Vol.126は9月20日発売!! 美しい写真と詳細なデータ、大胆な企画と緻密な取材で読者を魅了してやまないバス好きのためのバス総合情報誌だ!!  巻頭の[おじゃまします! バス会社潜入レポート]では、東急バスを特集。東京都から神奈川県において都市部から住宅地、田園地帯まで広いエリアを綿密なネットワークを展開、さらに高速路線バスやエアポートリムジンも大活躍。地域住民の足としてはもちろん、首都圏の動脈ともいえる重要な存在だ。  続く特集は、ついに日本に上陸しさらに種子島での運行が決まった、ヒョンデの電気バス[ELEC CITY TOWN]の試乗インプレッション。日本におけるヒョンデの本拠地である横浜・みなとみらい地区で、徹底的にその性能を確認した。  バスの周辺パーツやシステムを紹介する[バス用品探訪]では、なんと排出ガスからほぼ煤が出なくなるというエンジンオイルを紹介。この画期的な商品「出光アッシュフリー」について、出光で話わ聞いてきた。  そして後半カラー特集では、本誌で毎号、その動向、性能を追跡取材してきた「カルサンe-JEST」。このトルコ製小型電気バスがついに、運行デビューを果たした。その地は長野県伊那市と栃木県那須塩原市。今後の活躍が期待される出発式を紹介する。