普通の路線バスよりも更にマクロな経路を組んで、街の隅々までカバーするコミバス系の循環バス。気軽に利用してもらうため、循環バスには親しみやすさを込めた愛称が付いているイメージを抱きがちだが、その認識で合っているだろうか。
文・写真:中山修一
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■全国50カ所の循環バスの名は!?
北海道から沖縄県まで、全国各地で運行中の「循環バス」と紹介されている50カ所をランダムに選びサンプルデータとして利用、愛称の有無をチェックしてみた。さっそく結果を書き出すと……
・愛称あり:29
・愛称なし:21
……という数に収まった。特に愛称の付いていない循環バスも意外と普通にあるようで、前述の漠然としたイメージに100%合致するわけではなかったが、愛称ありのほうが若上回っている。
では、愛称なしの循環バスをどう呼んでいるのかと言えば、「町内循環バス」や「市内循環バス」のような、そのままの表現が多数派だった。
■分けて楽しいネーミングの由来
続いて、愛称ありの循環バスに絞って見ていくと、各路線ごとに、それぞれ工夫を凝らした名称が付けられていて楽しげだ。
どうしてその名称に決まったのか、由来が気になるところだ。こちらも少し掘り下げると、命名パターンに若干の法則性が見られる。
(1)実用系
循環バスの目的や用途、路線の種類など、実用面で役立つ文字情報が愛称の中に含まれているグループ。50カ所中3カ所が該当した。
【例】
・市内100円バス(青森県弘前市)
・まちのり「チョコット」(宮城県仙台市)
・青バス、赤バス(長野県上田市)
(2)キャラ系
バス向けにイメージキャラクターを立てたり、ご当地キャラを起用して、それらキャラの名前を愛称に用いている。2カ所が該当。
【例】
・ゆうすいくん号(静岡県清水町)
・すみだ百景 すみまるくん、すみりんちゃん(東京都墨田区)
(3)地域密着系
一般的によく使われる言葉を活かして、利用のしやすさを前面に押し出した愛称と言えるグループ。該当7カ所と結構ポピュラー。
【例】
・ふれあいバス(愛知県大府市、広島県安芸郡海田町)
・マイバス(群馬県前橋市)
・わくわく号(埼玉県朝霞市)ほか
(4)方言系
バスが走る地域の方言をベースにアレンジを加え、愛称に使用しているグループで3カ所が該当。
【例】
・のってみゅうかー(熊本県天草市)
・だんだんバス(鳥取県米子市)
・あべっ車(新潟県村上市)
(5)回る系
ぐるぐる周回するように走る様子が、何となく理解できる言葉が含まれた愛称。6カ所が当てはまった。
【例】
・めぐりん(東京都台東区)
・萩循環まぁーるバス(山口県萩市)
・B−ぐる(東京都文京区)ほか
(6)名物系
ご当地の名産品や特産品、ゆかりのある著名人や動植物といった、バスが走る地域と関わりの深い物事などをベースにした愛称がこのグループ。8カ所と最多だ。
【例】
・ノッタライン(北海道岩内郡岩内町)※鱈で有名
・べにばなGO(埼玉県桶川市)
・ハチ公バス(東京都渋谷区)ほか
今回の循環バス50カ所の愛称からは、上記の要領で由来を6種類にグループ分けできた。
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