■公共交通機関という重荷
バスは公共交通機関と一般には呼ばれている。その通りなのだが、公共という割には民間企業が事業を営んでいるのがほとんどで、公共の名のもとに多くの規制が存在し、世間の無言の圧力もある。事業者が抱えるこうした「重荷」を誰かが肩代わりしてあげないと、最悪の場合事業継続困難となる。
事業者がバンザイしてしまうと減便や路線廃止どころではなく、全線消滅という悪夢が待っている。自治体は近隣事業者にお願いに行くのだが、どこも状況は同じなので、かえって大金をはたいて別会社に路線を維持してもらうことになる。
最終的に困るのはバスを利用する我々なので、公共交通機関という重荷を少しでも肩代わりできるのは、利用者であり自治体であり政府なのだろう。金だけの問題ではないが、待遇というからには金はかかるので受益者負担や税金投入等々のきれいごとだけでは解決不可能な問題でもあるのだ。
■値上げしてもいいから残して! の声は届かず
この10月から各地でさらなる減便や路線廃止が相次いでいる。新聞各社やテレビ各局では、ここぞとばかりに利用者の声を取材していたが、背景については運転士不足としか報じておらず問題解決の糸口は見いだせないような論調だ。
しかし実際に減便や廃止される路線沿線住民は深刻で、「運賃を倍額にしてもいいから残して!」という声があがる。しかし事業者は路線維持のために運賃を倍にするといったら、沿線住民は文句を言うだろうしテレビはこぞって非難の論調で大々的に報じるのは火を見るより明らかだ。
この認識のすれ違いが恐ろしいので、簡単には運賃の値上げができなかったという背景もある。よってさまざまな板挟みである事業者のさらなる努力も必要だが、運転士になろうとしている人材が安心して責任感を全うできる労働環境を提供できるように利用者や行政の支援も必要だということだ。
バスの運転自体は非常に魅力のある楽しいことなのだが、もはや「好きという理由だけでボランティアに似た環境で仕事をしてもらう」時代は終わったと見なければならない。
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