三重交通の最長路線バス……端から乗ろうとしたら情報化社会に潜む闇が深すぎた!?

三重交通の最長路線バス……端から乗ろうとしたら情報化社会に潜む闇が深すぎた!?

 バス趣味でオイシイ路線に乗るなら、なるべく端から端まで全区間を乗り潰したいもの。しかし、そういったバスは主要駅などではなく、なかなかどうしてディープそうな場所が始発になっていることが結構ある。

文・写真:中山修一
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■三重県の長〜い路線バスに乗る

観光地らしくキレイに整備されたJR熊野市駅前
観光地らしくキレイに整備されたJR熊野市駅前

 紀伊半島の南東寄りに位置する三重県熊野市。ここには、乗りバスをして楽しむなら特に注目しておきたいユニークなバスが通っている。三重交通が運行する56系統「松阪熊野線」がそれで、「熊野古道ライン」の愛称でも呼ばれる。

 熊野市と同県北東寄りの松阪市を結ぶ、高速道路を通らない一般路線バスであるが、1回の走行距離が何と130kmを越える、たいへん長〜い路線だ。

 この熊野古道ラインに、熊野市側の端から出て終点まで乗ろうとした場合、JR紀勢本線の特急が停まる熊野市駅前が始発かと思いきや、三交南紀という何やら聞きなれない場所がスタート地点になっている。

■三交南紀をさがせ!!

 熊野古道ラインのバスは、熊野市駅前のバス停をしっかり通る。普通に考えれば熊野市駅から利用すれば済む話ではあるものの、そいつはヤボだと受け流し、余計なことをやりたくなるのが趣味の真骨頂。

 ではその三交南紀というバス停はどこにあるのだろうか? 熊野市駅から近いのか、それとも人里離れた山奥か!?

 現代技術の粋を集めたマップアプリを起ち上げれば、いつでもどこでも簡単に位置が把握できてしまう便利な時代が来たものだ。

 アプリ大先生の弁を借りるなら、熊野市駅から約3.3km先、周囲に田園風景が広がるエリアに三交南紀バス停がある。「三重交通南紀営業所」の略称とみられ、バスの車庫と営業所に併設した停留所だと分かった。

 さらに掘り下げた情報によれば、三交南紀には中・長距離高速バスが2路線、一般路線バスが3路線出入りしている。そのうち1路線が熊野古道ラインだ。

■現地に行けるかが問題

 基本情報が手に入ったところで、肝心なのは三交南紀に足を運んで、そこから熊野古道ラインのバスに乗れるかどうかだ。

 1日3便と本数が少なく、うち2本は朝5:30と7:36に出てしまうため、無理のない時間帯に利用できるのは13:20発の終バス一択しかない。

 熊野市駅から向かうとして、一番シンプルなのは他のバスでアクセスすることだ。早過ぎず遅過ぎずなタイミングで到着できるバスの有無を調べてみると、熊野市バス 潮風かほる熊野古道線に、熊野市駅前13:10発という便が出てきた。

 三交南紀着は13:17。3分の猶予があり、ひとまず乗り換えられそう。しかしこの「3分」の響き、入ったら90分制ですと告げられる居酒屋並みに落ち着かない。バスが遅延したら即オダブツ、予めハラをくくっておかないと後が悲惨だ。

 そこまで綱渡りな冒険はしたくないので、バス利用は廃案。次に目をつけたのはJR紀勢本線だ。三交南紀のバス停は、熊野市駅の1つ隣の有井駅が最寄りになる。

有井駅は普通列車だけが停まる無人駅
有井駅は普通列車だけが停まる無人駅

 アプリ大先生に訊ねると、「駅から1.2km、徒歩16分で行けるよ」と自信タップリな回答をもらい、あとは理想の時間帯に列車が走るかどうかだ。

 時刻表に目をやれば、熊野市12:46発・有井12:49着の普通列車がある。有井到着後の持ち時間は31分。お、これ行けるんじゃね?……暗闇に一筋の光が通った。

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