■結論としては?
日本版ライドシェアは地域の特性により運行可能な曜日や時間が細かく定められているので、タクシーが足らない時の補完でしかない。よって反対であろうが賛成であろうが、使いたい人は使えばいいし、不安なら流しのタクシーを止めるか、電話して配車してもらえばよい。それだけのことである。
ただし現状のアプリではライドシェア車を選択的に配車してもらうことはできないようなので、嫌な人は直接タクシー会社に配車依頼する等するしかない。空車のタクシーが近くにいない場合は待ちぼうけを食らうことになるのだが、そういう地域なので仕方がない。
■コロナで減ってしまった深夜バス
一般的に終電と終バスを比較すると電車の方が遅いことがほとんどだ。終電で最寄りの駅まで帰り着いても、自宅までの路線バスはもうない。さらに都心から終電以降に出発する郊外までの深夜バスとなると、頑張って運行している事業者もあるがコロナで運休したまま運転士不足で廃止されてしまった路線も多い。
そういう時間帯には特にタクシーが活躍する。それでも都心や郊外の駅からタクシーに乗るにはかなりの待ち時間があり、ここにライドシェアを組み込みたいのがそもそもの狙いだ。
深夜バスはだいぶ減ってしまったが、それでも23区内では一例として都営バスや京成バス等が郊外駅からの平日限定で深夜系統を運賃倍額で運行している。運賃倍額でも元が均一運賃なので、例えば都営バスだと420円、京成バスだと440円でタクシーよりもはるかに廉価だ。
■終バス後の様子
都心部から離れた住宅地が広がる郊外の駅では、駅から住宅街までの路線バスを多数運行している。しかし終バスは早く、とても終電までは対応してくれない。特に終電が遅いJRだとなおのことだ。
終バス以降に到着する電車から吐き出された乗客は、駐輪場に向かうか歩き出すか、タクシー乗り場に殺到するかだ。家人が自家用車で迎えに来ていることもある。郊外駅から遠距離にタクシーを飛ばす人はまれであろうが、絶対的な台数が足らず駅まで戻ってくるまでひたすら待つことになる。
こうなれば1秒でも早く帰りたい人はライドシェアでもなんでもいいから乗りたいのが人情なのかしれない。海外なら同方向の人を募り1台のタクシーに相乗りするのはよく見かける光景だが、日本では災害時や非常時でもなければそんなことはしないので、ひたすら待つ。
■利用者の環境によりライドシェアの価値は変わる?
終バス後の数時間続くタクシーの絶対的な不足を補うだけでも当事者からすればライドシェアは価値あるものなのかもしれない。バス運転士不足問題が解決されればバス事業者は運賃倍額の深夜系統を多く走らせても採算が合うが、現状ではバスはあっても運転士がいないので、できない相談になってしまっている。
タクシーにしてみれば深夜系統バスがあってもタクシーに乗る人は多いのだから、駅に行けばいくらでもお客さんはいる。むしろ待たせて乗客をイラつかせるより深夜バスである程度運んでくれた方がいい。一発長距離でなくても、ワンメーター相当の運賃を繰り返し乗せるのは実は効率の良い稼ぎ方の一つでもあるのだ。
やはり結論として落ち着くのはバスやタクシーの運転士不足問題なのだ。ライドシャアのバス版は問題が多すぎて実現は不可能だろうが、せめてラッシュ時や深夜だけのバス運転士を副業でもいいので、高給で採用できる仕組みを考えてほしいものだ。
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