■乗用車からバスへ
日本空港リムジン交通によるリムジンサービスでは、ポンティアック2台、キャデラック1台、クライスラー2台、フォードセダン1台を導入、1日180人の輸送を計画していた。屋根に荷物用のキャリアが付いていたのも特徴の一つ。
当初の段階では、アメリカのリムジンサービスを忠実にトレースしたような、乗用車による乗合輸送サービスであり、大量輸送向けのバスはまだなかった。
その後、訪日外国人に留まらず日本人も含めて利用者が増えていき、乗用車に加えてマイクロバスや大型バスも投入するようになった。
これも前述のアメリカの一部空港で実施されていたと言われる、リムジンサービスの拡大と流れが似ている。
■高級感がカナメです
1970年に刊行した経済誌に出稿された同社の広告を見ると、「空港ー東京都心ホテル間のデラックスバスサービス 航空機の発着に合わせて運行しています」との触れ込みであり、この頃にはバス中心の運行形態に移行していたのが窺える。
元々が高級車をベースにするのがリムジンサービスの呼び物であったためか、車両がバスに変わっても、一般路線バスよりも快適な車内設備を持った車両(昔は特注車だった模様)が好んで使われた。
羽田空港で始まったリムジンサービスとそのバスが、一定の成功を見せたことから、各地の空港が開業しアクセスバスが設定されるにあたり……
……運行を受け持った他のバス事業者も追従して、「リムジン」を名乗るものが増えていった。これがリムジンバスの誕生と普及の、ざっくりした経緯だったようだ。
■そして独自ジャンルの乗り物へ
今日でも、タクシーやハイヤーを活用した、昔ながらのリムジンサービスが行われている空港もあるが、日本のリムジンバスは独り歩きを始め、まったく独自ジャンルの乗り物へと進化したように思える。
前述の経緯を踏まえると、今もホテル発もしくはホテル経由のリムジンバスが多いのは、元が空港〜ホテルを連絡するための乗り物だった慣習に則っているから、と言える。
また、車両で見ると現在のリムジンバス=ハイデッカー車両と言ってよいほどであるが、2扉の路線車でも車体にリムジンと書かれた空港連絡バスが一部に存在する。
そのため、必ずしも1扉のハイデッカー高速車あるいは貸切車でないとリムジンと呼べない、というわけでもなさそうだ。
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