高速バスでは運行事業者により運賃が異なることは普通にある。ダイナミックプライシングで乗車日により異なることすらある。それが路線バスでの広がりが顕著になってきた。ダイヤで選ぶのか、運賃で選ぶのか、なかなか迷うところだ。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■複数の事業者から選べることは珍しくない
対距離制の運賃であれば、整理券を取り降車するバス停までの運賃を運賃表に従い支払う。最近はICカードでの支払いが多いので運賃表を見ることすらなくなっているかもしれないが、基本はそういうことだ。
同じ区間を複数の事業者から選択できることは結構多い。最終的な路線は異なっても駅周辺のようなターミナル始発の路線は分かれるまで同じ経路を通るので、結果的に複数の事業者から選択が可能というわけだ。
ここで運賃が異なっていても地元の人でないと分からない場合が多い。わからなければ先に来たバスに乗車するのが普通だ。ターミナルではバス会社ごとの乗り場というケースが多いので、便数の多いバス停で待つだろうから、やはり運賃が異なることに気が付かないことがある。
■均一区間では目立つ運賃格差
大都市の均一制運賃の場合は、バス停に1種類しかない運賃がデカデカと貼ってああるので、すぐに気が付く。ましてや複数の事業者のバス停があればその場で比較できてしまうので、運賃格差が目立ってしまう。
今や、運転士不足で便数や路線が減っている状況なので、運賃値上げにより運転士の待遇改善を図ろうという事業者の狙いは正しいし、非難されるものではない。これまでは運賃が異なることのないように協議して安い方に合わせる等していた。
それもいよいよ協議などとは言っておれなくなったのだ。しかし、同一区間同運賃という、これまでの常識と異なる状況が出現すると混乱するので、こういうことも起こりうることを知っておくことが重要だろう。
■共同運行でも異なる運賃の例
たまたま路線が重なる区間で異なる運賃はよくある話だが、まったく同じ路線を共同運行している事業者で異なる運賃だとややこしい。一例として東京都交通局と京王バスが運行する渋66系統を挙げる。
渋谷駅と阿佐ヶ谷駅を結ぶ渋66系統は共同運行なので、出入庫等にかかる区間便を除いては、まったく同じ路線だ。バス停を共同使用している停留所もある。
運賃は長らく210円均一だったが、京王バスが220円に値上げして10円の格差が、そして230円に値上げしたことで現在は20円の差ができてしまった。都営便に乗ると210円で、京王便だと230円というのが現実である。
■乗り場が違えば10円違い?
次の例は路線は異なるが目的地により複数の事業者が選択できる例である。吉祥寺駅から東伏見稲荷神社まで乗車した時に、吉祥寺駅では西武バスと関東バスの選択ができる。
なお、行先も事業者も異なるので、駅での乗り場は同じではない。記者は西武バスに乗車したが、途中から均一区間が終わり距離制に移行するので乗車区間を申告して先払いする仕組みだ。
東伏見稲荷神社までは均一区間で220円。ところが帰りに来たバスは関東バスで、こちらは230円だ。厳密にいえば経路は違うのだが、均一区間の運賃が10円異なるのでこのようになる。
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