先祖返り? 原点回帰? 結局のところトロリーバスって新時代の乗り物なんじゃないか?

■現在も路線網が拡大

 トロリーバスを主体に公共交通機関を整備しているのが、オーストリアのザルツブルクだ。1940年に運行を開始したザルツブルクのトロリーバスは、他の都市であればトラムを導入しているであろう規模で、その路線総延長は125キロに達する。

ザルツブルクにはトラムや地下鉄がなく、トロリーバスが主な公共交通機関として市民生活を支えている
ザルツブルクにはトラムや地下鉄がなく、トロリーバスが主な公共交通機関として市民生活を支えている

 市内中心部のみならず、郊外へも路線を伸ばしており、空港アクセスももちろんトロリーバスが担っている。

 イタリアも複数の都市にトロリーバスが運行され、とりわけミラノは市の外周を回る環状線を含む、約40キロの路線網を誇る。

 近年は、低床式の新型車両の導入が進められているが、1992年から活躍する旧型の車両もまだ現役で、通常の路線バスではとっくに廃車となった1990年代のボディを持つ車両を今も現役で見ることができる。

 チェコ共和国は、首都プラハからは一時期トロリーバスが撤退したが、近年復活を果たし、空港方面には3車体連接車が使用されている。

プラハに復活したトロリーバス。無架線区間が多くあり、バッテリー走行を前提としているのが特徴
プラハに復活したトロリーバス。無架線区間が多くあり、バッテリー走行を前提としているのが特徴

 現在も新路線を増やす計画があり、市内と競技場を結ぶ路線はまもなく工事が始まる。ブルノやオストラヴァといった地方都市でも活躍しており、いずれもトラムを補完するような形で路線網が構築されている。

 環境問題を主な理由として、今も残るヨーロッパのトロリーバス。大幅に増えるということはなさそうだが、今後も都市交通の一つとして残されていくだろう。

【画像ギャラリー】旧型・新型入り混じる海外のトロリーバス事情(8枚)画像ギャラリー

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