■古い車両を大切にする福島交通
そのまま終点まで乗車したら、運転手さんに声を掛けられた。聞けば、やはりこの初代エアロスターを追い掛けている熱心なファンが多くいるそうだ。
せっかくなので、折り返しの時間まで少しお話を伺ったが、この車両は常に営業で使われているわけではなく、稀に運用されることがあるそうだ。
運用に入るときは、普段高速バスなどを担当するベテランドライバーが運転を任されるそうで、「古いから冷房の効きが悪くてね…」と笑みを浮かべる運転手さんから、この古参車両への愛情が伝わってきた。
福島交通では、この初代エアロスター以外にも、福島空港行き高速リムジンバスとして、今も定期的に運行される初代エアロバスP-MS725Sが現役。
こちらは永久保存車両としてリニューアル工事を行ったばかりだ。製造はさらに古く1991年製……実に34年現役という驚異的な長寿車両だ。
たかが市民生活の足である、公共交通機関の路線バス。しかし違った見方をすれば、古い車両を観光資源として活用する、という考え方もできる。
そのうえ実際に愛好家団体がバスを貸し切るために遠方から福島を訪問している。都市に収益をもたらす、立派な観光資源と言えるはずだ。
今、日本全国で古い車両をレストアして蘇らせるという取り組みが、徐々にではあるが活発になってきているが、この流れが一過性のものではなく、企業のみならず国や自治体などを巻き込んだものへと発展していくことを願っている。
【画像ギャラリー】福島交通の初代エアロスター2025年夏(10枚)画像ギャラリー
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