バスのワンマン機器などの開発と発展の歴史は、路線バスのワンマン化によって大きく進化し続けてきた。
バスのワンマン化が図られた背景には1970年代には車掌職の人手不足と深夜対応によって車掌職を乗務させることが難しくなり、バスのワンマン化が急速に図られていく。それによってワンマン機器等の製品開発も進んでいき様々な安全装置も考案された。
(記事の内容は、2024年9月現在のものです)
執筆/諸井泉(元シャトルバス中央事業所第6グループ運営管理者)
資料・写真/旧富士重工業(現スバル)
※2024年9月発売《バスマガジンvol.126》『日本を走った初めての連節バス』より
■ワンマン機器等の取り扱いマニュアル
ボルボ・FHI連節バスはワンマン運転であるため、ワンマン機器の装備は現在のバスと同レベルと言えるほどに充実していた。ドライバーが操作するその機器類のマニュアルを以下に紹介する。
【1】扉の開閉について(日本エアブレーキ)※図2
車外からの前扉の開閉方法
車外前面スカート内にあるドア開閉スイッチを操作し、ドアの開閉を行う。
〇車内からの操作方法
車両運行時の乗降閉は自動操作で行う。ドアの近くに乗客がいないことを確認してからドア開閉スイッチを操作する。ドアの開閉操作は圧縮空気で行うが、エアリザーバー内にエアが少ないときは開閉できない。
このような時はエンジンを始動し空気圧を上げてからからスイッチ操作を行う。このバスは、中・後扉共に光電リレーと開扉発車防止装置付きである。扉を開けるとアクセルペダルがロックされ扉を開けたまま発車することはできない。
【2】自動方向幕巻取操作(オージ)※図3
〇操作方法
図解3の押釦スイッチ「上」(1)を押すと、方向幕は下巻に巻き取り、現在表示されている上の段を表示する。
押釦スイッチ「下」(2)を押すと、方向幕は上巻に巻き取り、現在表示されている下の段を表示する。
LEDランプ(3)(4)(5)は行先表示の表示位置を示し、上段時:・LED(3)点灯「科学万博会場」、中段の時:・LED(4)点灯「万博中央駅」、下段の時:・LED(5)点灯「回送」となる。方向幕作動中は消灯される。
【3】インターフォン(松下通信工業)
車外の乗客と会話するため、中扉前及び後扉前にインターフォンが取り付けられており、乗客との会話に利用できる。
【4】ルート・ガイダー(車内ワンマン放送装置)(松下通信工業)※図4
〇使用方法
〈1〉図解4のマイクロホンのプラグをマイクジャック(5)に挿入する。
〈2〉電源スイッチ(4)「入」にすると電源表示灯(3)が点灯してコントローラー及び本体機は作動状態となる。
〈3〉音量はマイク音量つまみ(1)を調整して加減する。
〈4〉マイク音量つまみ(2)をお好みの音量になるよう調整する。
〈5〉起動ボタン(8)を押すと本体機にセットされたテープが作動し、スピーカーから案内が放送され、停止信号で自動的に停止する。
〈6〉通貨ボタン(6)を押すと案内はスピーカーから音の出ない状態で送られ停止信号で自動的に停止する。
〈7〉停止ボタン(7)を押すとテープは任意の位置で停止する。
〈8〉頭出しボタン(9)を押すとテープが連続的に送られテープのスタート位置で停止する。
〈9〉スピーカー切り替えスイッチ(10)を社外側に倒すと案内放送は車内放送は社外スピーカーから、車内側に倒すと車内スピーカーから放送される。
【5】車内外確認テレビ(松下通信工業)※図5
B10M連節バスは、後車内及び車外にテレビカメラが取り付けられ、より安全な確認ができるようになっている。ギアセレクトのR釦が押された場合は切り替えスイッチに関係なく、自動的に車外のカメラがとらえた映像をモニターテレビに映し出した。
次回は、発着管理システム、カーラジオ、暖房・冷房装置等について説明していきたい。
【画像ギャラリー】ワンマン機器は令和のバスとほぼ同レベル!! 連節バス「スーパーシャトル」のワンマン機器取り扱いマニュアル(9枚)画像ギャラリー














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