■内宮を前にして外宮へ
神宮会館で買い物をした後に目の前にある内宮へ行けば効率は良いのだが、参拝順序を重視して外宮へ戻ることにする。神宮会館前には臨時バスは止まらないので、定期のバスを待ち外宮前で下車する。
三重交通の係員がバス停で混雑具合を勘案しながら無線電話で臨時バスの手配を行っているので、伊勢市駅・外宮・内宮間の待ち時間はあまりないようだった。
外宮は豊受大神宮が正式名称で、境内には複数の別宮もある。境内を歩いていると、知っている人だけが立ち止まり写真撮影をしている場所がある。境内の小さな石垣にハート形をした石が1つある。
これを目当てに来る観光客もいるほど、その筋には有名な石垣である。幸せになれるかどうかは当人の心がけ次第だ。
正宮に祀られているのは豊受大御神(とようけのおおみかみ)で、内宮の天照大神の食事をつかさどる神である。古事記の記述を口語でざっくりと記すと、天照大神が「食事をするのに一人ではさみしいので食事をつかさどる豊受大御神を呼び寄せて近くに祀ってね」という経緯で当地に祀られた、食事という生命の根源をつかさどる神様だ。
別宮にも参拝し、最後にお守りや神札を授与してもらい朱印をいただく。全国の神社で朱印帳を初めて購入し、当該神社の朱印をもらおうとすると「最初のページはどうしますか?」と聞かれることがある。
以前に大阪の住吉大社で「最初のページは神宮の朱印をいただくのが習わしなので」との説明を受けたが、当の神宮では「参拝順でもいいですよ」と言われる。
よってこれは習わしを踏襲するか、合理的に参拝順にいただくか、好みでよいということになろうか。記者はヒノキ製の朱印帳のトップに外宮の朱印をいただいた。
■待望の連接バス・エルガデュオで内宮へ!
次に外宮を後にして内宮へ向かう。バス停には臨時バスが先に到着して、これは内宮へほぼ直行するが、次の定期バスが連節車のエルガデュオだったので、それを待つことにした。
臨時バスのエルガは立席ありの満員で乗車に時間がかかり、発車する直前にはエルガデュオが後ろに付けていた。臨時バスに多くの観光客が乗車してしまったので、エルガデュオには数人しか乗っていなかった。こういうこともある。
これまで連節車はメルセデスベンツのシターロGしか乗ったことがなかったので、いすゞのエルガデュオには興味があった。乗車してみると普通のエルガと変わらない。車両の規格が日本の基準に合致しているため、シターロGよりも狭く感じるが、日本仕様の通常の路線バスと同じだ。
座席配置も自然でエルガと変わらない安心感がある。客室内にエンジンルームを入れ込んだシターロGとは異なりエルガと全く同じタイプの最後尾エンジンなので、最後尾座席の配置もエルガと同じだ。
それでも乗り込んだ乗客は珍しそうに車内を観察しながら、前車か後車かどこに座ろうか話し合っているグループもいて楽しそうだった。
終点の内宮前で下車すると、発車待ちのバスが数台停車していたが、その中には少し古めのいすゞガーラが待機中だった。バスファンとしては今一度乗っておきたい車両なのだが、参拝途中なので写真撮影だけにとどめた。
■風景写真に最適なロケーションの内宮
内宮は正式名称を「皇大神宮」と称し、天照大神が祀られている日本のすべてをつかさどる太陽神だ。最上格のさらに上ともいうべき別格中の別格神社だ。
初詣の際に全国の神社で授与される神札である「神宮大麻」は当社から頒布されたものである。しかし内宮では神宮大麻ではなく剣祓(けんはらい)や神宮大麻に似た角祓(かくはらい)が授与される。
また神宮を参拝して多くのお守りを授与されると多数になる。そこでお守りの「中」だけを授与してもらうこともできる。外宮でも内宮でも守祓(まもりはらい)というお守りの中身だけを受けることもできるので、自分で作ったお守り袋に複数の守祓を納めて1つにすることができる。
ちなみに以前に神職にお守りのことをうかがったことがある。説明によると、日本の神々は分業制のようなものなので、たくさんのお守りを持っていたからといって喧嘩するなどということはない。
むしろ協力して御神徳を授けるので、複数の神社のお守りを持つことは一向に差し支えなく、取り扱いを丁寧にして身につければOKということだった。お守り袋は自分で作ってもよいし市販のものを使ってもよいとのことで、重要なのはやはり中の神札たる守祓なので丁寧に扱い身に付ければよい。
ちなみに内宮を参拝する際に宇治橋を渡るが、この橋で俗世界と神域とに分かれる。手水舎を超えた右側に五十鈴川の河原に降りる緩やかな坂がある。この場所は御手洗場と称し、禊(みそぎ)をする場所なので賽銭を投げ入れてはならない。禊の場所は神聖な場所ではあるが、ご利益があるわけではないので賽銭を投げるのは慎みたい。
全身をつけて禊をすることはできないが、手を浸し清めることはできるので、参拝前に自分の手を冷たくきれいな五十鈴川の清流に浸して禊を行うことは心の癒しを得るのには最適な方法だろう。
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