山梨県都留市と富士急行株式会社は6月5日の環境の日に合わせて、SDGs(持続可能な開発目標)の推進に向けて「SDGs推進に係る連携協定」を締結した。
このビジョンとして「2030年までに、環境目標を『負荷ネットゼロ&貢献』とし、富士山エリアを『リゾートシティ』とする、持続可能な地域社会を実現する」ことを目指すとしている。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】山梨県都留市と富士急行が SDGs推進に係る連携協定を締結!BYD製電気バスで貢献
官民でSDGsを推進!
山梨県都留市は「都留市SDGs推進方針」に基づき、SDGs達成に向けた取組を推進していく。同時に 富士急行は「富士を世界に拓く」という創業精神のもと、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)に配慮したESG経営を実践し、事業を通じて社会的な課題を解決することで、地域社会の発展とSDGsの達成に向けて取り組む。
SDGsビジョンとして「2030年までに、環境目標を『負荷ネットゼロ&貢献』とし、富士山エリアを『リゾートシティ』とする、持続可能な地域社会の実現」を目指す。
本協定締結後、SDGsの普及啓発を目的とした最初の取り組みとして、長年緑化推進運動に力を入れている「ガールスカウト都留」のメンバーならびに都留文科大学の学生を招待し、電気バスに乗車しその仕組みを学びながら、山梨県立リニア見学センターを訪れる環境にやさしい次世代の交通機関についての知識を深めるツアーを開催した。
電気バスで環境に貢献
富士急行が昨年3台導入した電気バスは、充電した蓄電池の電力でモーターを動かすことによって走行する化石燃料を一切使わない次世代型の車両で、従来のディーゼルバスと比べ排出ガスや走行騒音を大幅に抑制できる地球環境にやさしいバスである。
現在は、富士五湖エリアをめぐるほか、富士スバルラインを通って富士山五合目と富士山駅・河口湖駅を結ぶ路線バスとして運行している。
この電気バスは2020年3月に同社が導入した中国BYD社製の12m大型路線バス仕様のK9で、1回の充電における航続距離は250kmにおよぶ。バッテリー容量は324kWhをほこり、例えば九州の「DENCHA」ことBEC819系電車や、JR東日本のEV-E801系電車のバッテリー容量が383.6kWhなので大きく違わない。
もう少し身近な例で東京電力の資料によると2015年の1軒当たりの単純平均電力使用量が月当たり248.7kWhなので、どれだけの大容量なのかがわかる。
純粋な路線車電気バスは上海で乗車したことがあるが、バスファン視点でのモーターで走るEVの魅力は環境面や静粛性のみならず、スタートダッシュの強烈なトルクを体で感じることができることだろう。
公共の充電施設がいたるところにある中国と違い、日本では充電インフラを事業者が設置するのが主流なので相当な航続距離がないと導入しにくい事情があると思われる。しかし燃料電池車やEVバスが徐々に普及しているので、今後は環境とコストを天秤にかけて導入を検討する時代になるのだろう。