三重県松阪市では、2022年11月20日(日曜日)、25日(金曜日)両日に路線バス運賃無料デーを実施する。当日は市内のバスを誰でも何度でも無料で乗車できるという超お得な期間となる。どんな経緯で実現したのか!?
文:古川智規(バスマガジン編集部)
写真:東出真
ほぼ三重交通だが実施は松阪市
この施策は三重交通ではなく、松阪市により行われる。当日は松阪市内を運行する路線バスはすべてが運賃無料になり乗り放題だ。松阪市と言えば松阪牛が有名だ。
同市の面積は自治体合併により広大な面積になっている。よって市内を縦横無尽となると、相当な距離と時間が必要になるのが現状だ。
松阪市の面積は三重県内では県庁所在である津市に次いで第2位だ。伊勢湾沿いの海沿いの都市というイメージがあるが奈良県とも接している。全国で約800ある市制を施行している自治体中、松阪市の面積は96位で島根県出雲市に次ぐ。
この無料化にあたっては、利用に何の制限も設けていない。つまり市民のみとか何かの資格が必要とか、そういったものは一切なく誰でも何度でも無料だ。
松阪市内の路線バスはほぼ三重交通であるのは事実だが、コミュニティバスもあり一部は三重交通に委託されているとはいえ、無料化される事業者は三重交通に限らずとにかく全部だ。
無料なのは市内区間のみ
無料になるのは松阪市内区間のみだが、一部で他の自治体を経由してまた松阪市に入る路線もあり、そこは全区間が無料になるようだ。しかし前述のとおり、松阪市がかなり広いのと、隣接自治体へは鉄道連絡があることから松阪市外に行くバスの路線は多くない。
三重交通ファンにはたまらないプレゼント的な施策になるのだが、なぜこのような無料化を実施したのかは、市長のコラムにヒントがあった。
松阪市長の想い
市長コラムによると、「路線バスは、地域の生活や経済活動を支えるとても重要な公共交通機関です。もちろん「あって当たり前」ではなく、お客様の利用があってこそ運行ができますが、新型コロナなどの影響から利用者が大幅に減り厳しい状況が続いています。」
「市内各地を走る路線バスですが、松阪市の令和2年市民意識調査では、回答者の7割以上の方が松阪市のコミュニティバスを「利用したことがない」と回答されており、バスのルートや乗り方を知らない人も意外と多いのではないでしょうか。」
「乗ったことがある人もない人も、この「運賃無料デー」には改めて松阪市内の路線バスを知ってもらい、思いっきり路線バスをお試しいただきたいと思います。お買い物など日常生活でのご利用やバスに乗ってどこかへお出かけ!松阪市内をぶらり旅も良いかもしれません。」
「そして、これをきっかけに、ひとりでも多くの人が路線バスの便利さや楽しさを見つけていただき、お出かけの際の選択肢として、今後のバス利用につながればとても嬉しいことです。」
としており、車社会が進み利用者の数の問題以前に、乗り方すら知らない市民が多く存在することに危機感を感じ、外出の選択肢に加えてほしいという切実な想いがあったのが読み取れる。
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