三菱ふそうが報道関係者向けに行った「バス事業に関するラウンドテーブル」で、バス事業の推移や今後についての見解が発表されたのは、すでにテレビほかの報道でご存じのことだろう。バスマガジンWEBでは、もう少し掘り下げて取り上げる。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■現行モデルは4車種に大別
同社が販売するバスは4車種に大別される。いわゆるマイクロバスのカテゴリーである小型バスのローザ、大型路線バスであるエアロスター、そして大型観光バスのカテゴリーではハイデッカーのエアロエースと、スーパーハイデッカーのエアロクイーンだ。
細かい仕様に細分するともっと多くなるが、大きく分けて4種類ということだ。どの車種も2020年以降販売台数h落ち込んだが、2022年より回復傾向を見せている。
特に小型のローザは輸出用が多いことから国内需要よりも回復が強いことが示された。輸出用ローザは2019年比で-64%まで落ち込んだのが2023年には-18%まで回復している。
■観光バスはこれからか?
一方で観光バスは、不要不急の外出自粛から「観光」そのものが不要不急に該当するとして2019年比で-78%まで落ち込んだが、2023年になっても-60%までしか回復していない。
ただし、近年のインバウンド需要の急増で国内の観光バス市場は活況を呈するものと思われ、後追いながらも今後の回復が期待される。
■今後の傾向予測
同社はバスの今後としては二極化が進むと予測している。すなわち、廉価バージョンと高級バージョンの両極に分かれて、廉価版では観光バスの13列化で大量輸送に向かい、高級版としては豪華仕様や観光に特化したスペシャルパッケージの提供が進むだろうとしている。
一方で、感染症対策仕様は今後も継続されるものと思われ、抗ウイルスや換気、飛沫防止等の対策仕様は継続されると見込んでいる。
■報道関係者が最も注目した発表は?
今回の発表の中で多くの報道関係者が注目したのは、バス業界が掲げる課題について検討内容だった。まずアピールしたのは、「同社のバスは全車種がAT車で経験の浅いドライバーでも安全で快適な運転操作をすることができる」という点だ。
次に、新事業としてバスドライバーの人材派遣を検討していることが発表された。これに報道関係者が注目したのだ。
■集めるのではなく自社社員を派遣?
同社の構想はこうだ。自社の事業の性質上、免許を持った社員が多く、最繁忙期等で事業者において運転士の手が足りない時に限り、臨時で自社社員を運転士として派遣しようというものだ。
あくまでも臨時的な運転士なので恒久的に路線バス乗務のシフトに入ることは難しかろうが。貸切バスや波動輸送等の一時的な運転士不足に対応したいとの考えのようだ。
本務の乗務員は引き続き各事業者で人材確保に努めなければならないが、バス製造メーカーが自社社員を一時的にせよ運転士として派遣してくれるのであれば、こんなに心強いことはないだろう。
■三菱ふそうはマジだぜ!
この発表には多くの質問が出されたが、現在の検討内容ではそのための新たな雇用や人材を確保するのではなく、あくまでもユーザーとしてのバス事業者にメーカーが自社社員を派遣して一部協力することにより、運転士不足によりバスそのものの需要がなくなることを防ぎたい思惑はありそうだ。
しかし自社の社員であろうが、派遣すれば人材派遣業に該当することから、同社では派遣業許可の取得に向けて動き出しているようで、同社の本気度がうかがえる発表となった。日本の高品質なバス製造が持続できるように期待したい。
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