三重交通の改正ダイヤ! あの「松阪熊野線」が廃止前提の平日1往復にまで減便ってマジ?

三重交通の改正ダイヤ! あの「松阪熊野線」が廃止前提の平日1往復にまで減便ってマジ?

 三重交通は2024年10月1日実施のダイヤ改正の概要を9月17日に発表した。全体的に減便や運行パターンの見直しなど乗務員不足の影響が出ている。本稿では南紀営業所担当の長距離路線バス「松阪熊野線」について取り上げる。

文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
(詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)

■平日1往復のみに減便

上下並びの交換光景は見ることができなくなる
上下並びの交換光景は見ることができなくなる

 「松阪熊野線」は事前の発表の通り、平日は1往復に減便し、土休日は運行が取りやめられる。ではどのようなダイヤとなるのか詳しく見ていこう。9月の記事執筆時点では平日・土日祝と3往復(一部朝の便は松阪駅前発、夕方は松阪駅前止まり)が運行されている。10月1日からは三交南紀7時36分発、松阪駅前14時15分発の1往復のみになる。

 また、これまで1日2往復が設定されていた松阪中央病院については、三交南紀7時36分発のみ松阪駅前を経由して松阪中央病院に12時3分着に設定され折り返し便はない。ルートに変更はなく、途中の「道の駅奥伊勢おおだい」バス停と「海山バスセンター」バス停での15分の休憩も同様に設定されている。

下り三交南紀行き
下り三交南紀行き

 ダイヤとしては改正前の1日3本設定されているうちの上り松阪駅前行きは2本目のものが残さる形だ。また下りの三交南紀行きは改正前の2本目と3本目の間にまとめる形で新設されるようだ。

 改正前の終バスより2時間ほど繰り上がったことで、例えば熊野市駅バス停には改正前の20時20分着から、改正後はは18時25分着と、夕方過ぎには熊野市に入れることとなる。

上り松阪駅前行き
上り松阪駅前行き

 南紀方面からの松阪市での滞在時間は松阪駅前バス停を利用すると仮定すると2時間半ほどだ。通院や所用であれば何とかなりそうだが、観光目的では物足りないだろう。また下り便利用で熊野市の滞在時間は13時間あまりで、戻りが翌朝7時43分発なので、やや慌しい出発になってしまいそうだ。

■廃止前提のダイヤ改正

車両は専用車を充当する松阪熊野線
車両は専用車を充当する松阪熊野線

 以上が改正ダイヤの概要で、10月から新ダイヤで1往復となる松阪熊野線である。今後は来年3月末での廃止が決まっているので、今回の改正は廃止前提ということになろう。

 1970年より「南紀特急バス」として運行が開始され、2018年10月1日からは「松阪熊野線」となり、路線バスとして本州で2番目に長い約135kmという屈指の長距離路線となったが、その歴史に幕を下ろすことになる。

それこそ海あり山ありの多彩な車窓
それこそ海あり山ありの多彩な車窓

 この路線から広がる景色は多彩だ。市街地あり、田園区間あり、険しい峠区間ありで、それを抜けると太平洋を望む熊野灘の景色と実に様々な車窓を楽しむことができる。

 また車両はいすゞのエルガハイブリッドを使用し、車体側面にはハイブリッドの文字とともに「熊野古道ライン」とラッピングされた専用車を充当している。一般的な路線バスよりも広くロングボディを実感でき、座席はハイバックシートを採用する。

路線バスで降車休憩かつ上下便が交換する光景
路線バスで降車休憩かつ上下便が交換する光景

 カップホルダーと網ポケット、一部座席にはUSBポートを備えているほか、Wi-Fiも利用でき長距離利用者にも対応した専用車だ。

 路線バスかつ長距離であることから、途中の「道の駅奥伊勢おおだい」と「海山バスセンター」で15分程度の降車休憩があり、都市間高速バスを思わせる運用をしている。

次ページは : ■「Ise・Taki・Kumano 南三重へのいざないフリーきっぷ」は発売を継続中

最新号

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

バスマガジン Vol.126は9月20日発売!! 美しい写真と詳細なデータ、大胆な企画と緻密な取材で読者を魅了してやまないバス好きのためのバス総合情報誌だ!!  巻頭の[おじゃまします! バス会社潜入レポート]では、東急バスを特集。東京都から神奈川県において都市部から住宅地、田園地帯まで広いエリアを綿密なネットワークを展開、さらに高速路線バスやエアポートリムジンも大活躍。地域住民の足としてはもちろん、首都圏の動脈ともいえる重要な存在だ。  続く特集は、ついに日本に上陸しさらに種子島での運行が決まった、ヒョンデの電気バス[ELEC CITY TOWN]の試乗インプレッション。日本におけるヒョンデの本拠地である横浜・みなとみらい地区で、徹底的にその性能を確認した。  バスの周辺パーツやシステムを紹介する[バス用品探訪]では、なんと排出ガスからほぼ煤が出なくなるというエンジンオイルを紹介。この画期的な商品「出光アッシュフリー」について、出光で話わ聞いてきた。  そして後半カラー特集では、本誌で毎号、その動向、性能を追跡取材してきた「カルサンe-JEST」。このトルコ製小型電気バスがついに、運行デビューを果たした。その地は長野県伊那市と栃木県那須塩原市。今後の活躍が期待される出発式を紹介する。