■再び広島駅
駅前大橋ルートを歩いて、広島駅の近くまで戻ってきた。駅前大橋南側にある交差点で行き交う路面電車の様子もみた。広島駅電停を出てきた路面電車が下りてくる様子や広島市内を巡る路線バスが東西南北に走る様子を眺めることができる。これまでには見られなかった光景であり壮観である。
計画当初から話題になっていた駅前大橋ルートの高架であるが、駅ビルの地上階でないところから発着するのは東急玉川線渋谷駅以来56年ぶりで、2階以上に高架で路面電車が乗り入れるのは全国で初めてだという。ホームは開業日ならではの混雑ぶりで、まだまだ熱気が続いていた。
電停横には交通案内所が設けられた。路面電車と路線バスについての案内所であり交通案内のほか、各種定期券や1日乗車券などの乗車券類の販売、広電オリジナルグッズの購入が可能だ。今はスマホでもフリーパスなどは購入可能だが、やはり記念として形に残しておきたい場合はここで紙券を求めるといいだろう。
壁面にはデジタルサイネージが設置され、下の階から出発する路線バスの案内が表示されていた。広島市内では広島電鉄のほか広島バス、広島交通、中国JRバスと各社乗り入れているのだがバスのカラーに合わせた色表示と発車時刻についても5分をきると黄色に、間もなく到着・出発だと赤で知らせるなど、視覚的にも分かりやすい。また乗り場に行く前にバスの接近情報が手に入るのはありがたい。
ただし同じ画面で表示してはいるものの、表示下部の乗り場は反対側の新幹線口から出発するバスのことなので注意してほしい。隣には各乗り場から出発するバスの系統番号と行き先、主な経由地が表示され、バス路線図も掲げられている。また別の仮設で取り付けられている案内では行き先別、目的地別での乗り場と行先がまとめられているものもあった。
路線図の逆引きのようなもので、初めて広島に来た人には土地勘はないが目的地がはっきりしているので親切な案内だ。現在は1~9番乗り場が2024年6月より暫定開業しており、雨の心配などをせずにバスに乗車できるようになったが、将来的にはこの周辺にあるバス乗り場も集約され22バースになる予定だ。更にターミナル駅としての機能が増すことになるだろう。
■広島駅今後の予定
筆者も広島に来たら何度となく行き来した風景が過去のものになったというのは今でも受け入れられない感覚だが、同時に新たに歴史を刻む駅前大橋ルートにも期待したい。また広島駅としてのリニューアルはまだまだ続く。
前述した南側バスエリア、そしてタクシーエリアには一般車の乗り入れができるスペースが、また路面電車の電停先には大屋根が付き、両側には周辺のビルなどと行き来できるペデストリアンデッキも整備される。最終的な工期としては令和10年度末ということなので、まだ3~4年ほどはかかりそうだ。
開業初日は午後にポイントの故障が発生しダイヤが大きく乱れるなど波乱万丈なスタートになったが、新幹線・在来線の改札から平面移動で乗換えができるようになったのは大きな魅力であり観光の強みともいえよう。
今回は広島駅電停の切り替わりと駅前大橋ルート開業に沸いた広島駅周辺について2回に分けてお伝えした。この日は広島電鉄、JR西日本、広島市の事業者だけではなく、街としても記念すべき日となった歴史的な1日を見ることができた。
一方で路線開業以来113年という歴史に幕を閉じた猿猴橋町電停の最後の日に立ち会えたことは感慨深い。まだまだ変化し続ける広島をぜひ訪れてもらいたい。
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