■白馬伝説と奇祭
長い階段を上がるとやや広い空間に出てきた。こちらは先ほど見た多度稲荷神社から車で上がることのできる場所で、神楽殿や新宮社、宝物殿、授与所や御朱印の受付などが並んでいる。平日ということもあり、人はまばらであったが三重県ではは伊勢神宮・二見興玉神社・椿大神社に次いで4番目に参拝者数の多い神社だ。
祭事などには多くの人で埋め尽くされるのであろう。そしてその一角にあるのが神馬舎である。多度大社には幸せを運ぶ神の馬として「白馬伝説」がある。先に述べたが「神体山」と仰がれた多度山に人々は農耕に恵みの雨を乞い、出生に安産を祈るというように日々の暮らしの平穏や家族の幸せを祈り続けてきた。
その願いを神に届ける使者の役割を果たすのが多度大社に1500年前から棲むといわれる白馬なのだという。かつて、多度山の小高い丘の上には遠くに広がる街並みを見はるかせ、人々の折節の喜怒哀楽を静かに見つめている白馬の姿がとらえられたという。
古来より神は馬に乗って降臨するといわれるように神と馬との関係は深く、馬の行動を神意の現われと判断することから、多度大社でもその年の豊作、凶作を占う「上げ馬神事」というのが毎年5月4日、5日に行われる。少年騎手が人馬一体となり上げ坂を駆け上がる勇壮な神事で、三重県の無形民俗文化財にも指定されている天下の奇祭である。
先ほど見上げた階段横の坂道というのは「上げ馬神事」で馬が駆け上がる坂道なのである。神馬舎には白馬がいて、運よく見ることができた。特に今年の干支が午であるので、正月にはこの神馬を見ようと多くの参拝者が詰めかけたそうだ。
■帰路はコミュニティバスで!
授与所前の鳥居をくぐり、更に先へと歩いて行くと木々の生い茂る山林へと入っていく。周りに聞こえるのは自然の音のみである。いくつかの階段を上がっていくとようやく見えてくるのが本宮・多度神社と別宮・一目連神社である。橋を渡った左手にあるのが本宮である。緑に囲まれて建つその姿は自然に溶け込んでいるかのようで、神聖な空間を感じた。筆者も参拝し日々の感謝を祈った。
再び境内まで降りてくると階段の向こうに参道を見渡すことができた。それほど高い場所にあるということなのだが、向こうから両側を埋め尽くす観客の中を勇壮に駆け上がる人馬の姿を想像すると一度は見たい衝動に駆られる。
帰りは多度駅へと向かうコミュニティバスの時刻に合うようだったので乗車した。やってきたのはワゴンタイプで車内には1人が乗車していた。運賃は1乗車100円で降車時に払う。
行きは随分時間がかかったが、バスだとわずか5分と快適さだ。あっという間に多度駅に到着した。しばらくの停車の後、折り返し多度駅発のバスとして発車していった。
■多度大社への交通
今回は桑名市の多度大社についてお届けした。多度大社へはJR関西線、近鉄「桑名」駅から養老鉄道に乗り換え、多度駅で下車。桑名市が運行するコミュニティバス「K-バス」多度エリア線「美鹿ルート」に乗車し「多度大社前」バス停下車。1日6.5往復とやや少ないので時刻表を確認してから利用したい。
5月に行われる「上げ馬神事」はニュースで取り上げられるので有名だが、先述したとおり「お伊勢参らばお多度もかけよ、お多度かけねば片参り」と言われる。伊勢の神宮へ参拝した後は多度大社にも参拝し、お伊勢参りをコンプリートしてもらいたい。このような「片参り」の言い伝えは三重県内に山ほどあるので、すべてを満たすコンプリートははるか先になりそうだ。











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