古き良き、高速バスが百花繚乱だった時代のルートや車両をアーカイブ記事として紹介するこのコーナー。今回はあの「はかた号」を超える長距離を定期運行していたバスだ。
長距離バスの営業距離第1位は、しばらくは西鉄が運行する新宿行き「はかた号」だったが、この距離を超えてさらに東京を北上する埼玉行き「ライオンズ号」が開業し、第1位となった。
運賃は「はかた号」より安いが、一般的な3列シートでなく4列シートのちょっとタイトな車内設定だ。
●車両データ
車名/ライオンズエクスプレス
運行/さいたま・池袋・横浜〜福岡
事業者/西鉄高速バス/西武観光バス
執筆・撮影■石川正臣
※2020年1月発売「バスマガジンvol.99」より
高速バスアーカイブ第15弾
【画像ギャラリー】あの「はかた号」以上の長距離を運行していた最長距離のバス!!「ライオンズエクスプレス」
当時、日本最長路線だった、まさに[The長距離バス]!!
営業所構内の乗り場から、遠く九州を目指して発車。片側一車線の狭い道を行くライオンズエクスプレス。ときおり西武の路線バスと行違う。立ち席が出るほどの満員のバスだ。そうこうしている間に大宮駅に着く。やはり埼玉県の代表駅とあって、路線バスが次々と発車していく。
「福岡行きです」乗務員の言葉に帰宅を急ぐ人々の熱い視線。えっ九州行くの? って感じの驚きの目線。こちらも乗車完了して発車。
出発すると高速に入り、首都高速をさらに南下して、荒川を渡れば東京都に入る。西武バスの拠点、池袋に着く。ここは若者がひしめくホットなスポットだ。
そんな土地からもすぐに発車、さらに首都高を南下して神奈川県へと向かう。京浜工場地帯の工場群を抜け、横浜港を見て横浜駅へ進入。新宿駅のみ乗車扱いする博多号と違い、やっと東側の乗車が完了する。
横浜では数少ないジェイアールバスの大阪行きが先行。乗務員も横浜発のジェイアールバスがあるのか、知らなかったなんで対話が耳に入る。
埼玉県、東京都、神奈川県、コマ目に乗客を乗せていよいよ九州に向けて出発だ。車内放送では挨拶と八女茶のサービス。気分はもう福岡!? だ。横浜町田インターから東名高速に入り、足柄SAで休憩。となりには徳島行きの京急と徳島バスのエディ号、そして同じ徳島目指す海部観光のマイフローラらが並ぶ。