住友商事、住友商事九州、西日本鉄道、西鉄バス北九州は、西鉄バス北九州小倉自動車営業所および西鉄アイランドシティ自動車営業所において、電気バスを導入した実証実験を行う。
電気バスを導入するだけではなく、なんと従来からのディーゼルエンジンのバスを電動化するという試みも取り入れられる。レトロフィット電気バスという新たな分野に挑戦する。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】西鉄が中古バスをレトロフィットで電気バスに!
中古大型バスをレトロフィットで電気バスに!
まず、西鉄バス北九州小倉自動車営業所では、中古の国産ディーゼルバスを電気バスに改造した「レトロフィット電気バス」を導入する。
この電気バスは住友商事が2019年に出資参画した、台湾最大手の電気バスメーカーRAC Electric Vehiclesと共同開発し、従来のレトロフィット電気バスよりも航続距離が長いことから、二酸化炭素の排出削減に寄与する。
本実証では、走行性能、環境負荷および運用面における諸課題を検証するとともに、将来的には国内でレトロフィットすることで改造費用を抑制し、高性能・低価格の電気バスの普及・促進を目指す。なお、本実証は「北九州市環境未来技術開発助成制度」の対象テーマとして採択されている。
一方、西鉄アイランドシティ自動車営業所では、将来的な電気バスの複数運用を見据え、導入済みの車両に加え、住友商事が保有する車両も導入し電気バス2台による運行実証と最適な充電マネジメントを検証する。
4社は本実証を通じて西鉄グループにおける電気バスのさらなる導入推進に向けて共同で取り組む。「2050年カーボンニュートラル達成」の実現を目指し、電気バスの普及に向けた課題解決と持続可能な公共交通の構築に貢献したい考えだ。
このバスはどこで走る?
まず小倉営業所の国産大型ディーゼルバスをベースとした台湾RAC社製電気バスは導入台数1台だ。想定航続距離150㎞で、2022年2月以降に小倉-黒崎間約14㎞で運行開始予定。
アイランドシティ営業所では導入済みの1台に加えて1台を追加導入する。航続距離は導入済みのバスについては実績値で45km、新規導入のバスについては35㎞を想定している。2021年10月よりアイランドシティ照葉~千早駅間の5kmで運行を開始する予定だ。
これらの実証実験で車両性能はもちろんだが、さまざまな負荷による航続距離の検証や、スマホの充電と同様に最適な充電運用方法を検証する。
燃料がなくなれば任意のタイミングで軽油を継ぎ足せばOKという従来のディーゼル車にはない、どのタイミングで充電を行うのかというノウハウが必要になるだろう。その蓄積が将来バスの形態を変えるのかもしれない。