全国に2万5000以上あると言われるバス路線。その中でも、県境を跨いで走る高速バス以外の一般路線バスの数は極端に少ない。そんな県境越えバスの実態はどうなっているのだろう? 今回試すのは、神奈川屈指の観光地に食い込む東海バス「N65」系統だ!!
文・写真:中山修一
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■芦ノ湖に出張る静岡の路線バス
東海道新幹線「こだま」と一部「ひかり」が停まる静岡県の三島駅と、神奈川県を代表する定番観光地・芦ノ湖の元箱根港を結ぶ一般路線バスがある。東海バスが運行している「N65」系統だ。
東海バスは静岡県を中心に活動するバス事業者になるため、静岡県側からアプローチして県境をまたぐのが順方向。神奈川県まで食い込む静岡の路線バスという位置付けだ。
路線距離21kmのうち、神奈川県内の区間は3.7km。それほど奥まで入り込まないのは、典型的な県境越え路線バスのフォーマット通りと言えそうだ。
三島発が朝9時〜16時台まで1日11本、元箱根港発は9〜17時台まで1日9本あり、大体1時間に1本のペースでバスが出ている。県境越え系としてなら充実した本数かもしれない。
■芦ノ湖から麓の街を目指す
実際に乗って確かめる際、本来なら静岡県側から向かいたいところであるが、他の行程の都合上、平日の12時台に元箱根港を出発する三島行きを乗りバスの目標にした。
芦ノ湖の湖畔、国道1号線沿いの遊覧船乗り場に、東海バスの元箱根港停留所が置かれている。道幅が狭いのもあり、乗り場が普通の駐車場と同じレイアウトになっていて、バスはバックで入る。
バス乗り場全体は割と賑わっているのに、県境越え路線のレーンだけ人が超少ない、なんて光景を以前からちょくちょく目にしてきた。それが芦ノ湖のようなド定番観光地と言えど、お定まりな可能性だってある。
東海バスN65系統三島行きには、中型路線車いすゞエルガミオが使われていた。現地に別のバスで着いたのが出発11分前。その時点でドアを開けて乗車待ちをしていた。
■インバウンド御用達?
元箱根港の周辺は以前からインバウンド人気の高い場所。もうすっかりインバウンドづくしな雰囲気に戻った。バス停周辺とバス車内の様子をうかがうと、N65系統もその恩恵を受けているとすぐ気付いた。
車内に入り出発を待っていると、観光客と見られるグループが何組か乗り込んできた。話している言語をに耳を傾けると、英語や中国語といったところだ。
ドアが閉まり右折して国道1号線に乗る最初の段階で、9人ほど乗車していた。そのうち日本語が基本の話者は乗務員を含め2名だ。
3分ほど走った箱根町港バス停で、さらに10名ほど利用があった。こちらは100%他の国の公用語を話す観光客で占めていた。神奈川県にいて車内はもう外国だ。
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