2025年3月に廃止される路線バス……最後のダイヤってどんな感じなんだ?

2025年3月に廃止される路線バス……最後のダイヤってどんな感じなんだ?

 2025年も路線バス廃止の動きが全国各地で多く見られる。ふと気になったのが、廃止対象になる路線バスのダイヤ。10分おきに来るような主力系統に大鉈が振るわれたのか、それとも「役割を終える」色合いが濃いのか……神奈川県を代表するバス事業者の神奈中バスを例に見てみよう。

文・写真:中山修一
(最後のバス運行ダイヤにまつわる写真つきフルサイズ版はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)

■2025年3月の神奈中バスの運行終了系統

町田バスセンター。東京都内ながら神奈中バスの本拠地と言わんばかりの迫力
町田バスセンター。東京都内ながら神奈中バスの本拠地と言わんばかりの迫力

 神奈中バスが公表しているリリース情報を元にすると、2025年3月に運行終了となる系統(もしくは路線)は以下の通り。リリース原文には「運行終了」と書かれているが、バスが走らなくという点では実質的な廃止とみられる。

【2025年3月28日(金)まで運行】
(1)桜84系統 聖蹟桜ヶ丘駅〜南大沢駅〜相模原駅北口
(2)90系統 中山駅北口〜さつきが丘〜青葉台駅
(3)町73系統 町田バスセンター〜田奈駅〜青葉台駅
(4)町82系統 町田バスセンター〜町谷原〜つきみ野駅
(5)町82系統 町田ターミナル〜町谷原〜つきみ野駅
※町82系統は元のリリースが2つに分けて掲載。

【2025年3月29日(土)まで運行】
(6)淵24系統 淵野辺駅北口〜図師〜登戸駅

【2025年3月30日(日)まで運行】
(7)南01系統 南町田グランベリーパーク駅〜東名横浜町田インター〜若葉台中央

 上記(1)〜(6)までの系統は、いずれも電車では直行できない、JRの駅〜私鉄の駅同士を結ぶタイプのバスであるのが読み取れる。唯一(7)だけはベッドタウン〜駅間のアクセス路線だ。

■各系統の1日あたりの本数は?

今回対象となった朝2本だけの神奈中バス90系統。このほか東急バス青90系統と、横浜市営バス90系統が同じ区間を走っている
今回対象となった朝2本だけの神奈中バス90系統。このほか東急バス青90系統と、横浜市営バス90系統が同じ区間を走っている

 続いて、各系統のダイヤに注目してみる。2025年3月現在の時刻表を参考に、それぞれ1日あたり何本出ているのかを記すと……

(1)桜84系統
・聖蹟桜ヶ丘発:平日3本/土日祝3本
・相模原駅発:平日3本/土日祝3本
※京王バスとの共同運行で、京王バス担当の便が別途あり。
※京王バスの桜84系統も2025年3月廃止。

(2)90系統
・中山駅北口発:平日2本(6:55と7:53)/土日祝運休
・青葉台駅発:平日2本(6:36と7:18)/土日祝運休

(3)町73系統
・青葉台駅発:平日1本(8:14)/土日祝運休
・町田バスセンター発:なし

(4)と(5)町82系統
・町田ターミナル発:平日土曜2本(12:24と17:50)/日祝2本(11:48と17:48)
・つきみ野駅発:平日土曜2本(10:35と13:59)/日祝2本(10:28と13:16)

(6)淵24系統
・淵野辺駅北口発:土曜1本(7:00)/平日・日祝運休
・登戸駅発:土曜1本(8:12)/平日・日祝運休

(7)南01系統
・若葉台中央発:日祝1本(11:50)/平日・土曜運休
・南町田GP発:日祝1本(12:20)/平日・土曜運休

……となっていた。

■“限界系”が勢揃い?

 (1)桜84系統に関しては、都会のローカル路線バス的な存在感を放つものの、「えっここ辞めちゃうの?」と思わせるくらいの本数は出ているため、意外な運行終了の印象を持った。それ以外はギリギリまで運行本数を切り詰めた限界系、いわゆる免許維持路線の風合い。

本数もここまで来れば見事
本数もここまで来れば見事

 駅〜駅を縦に繋ぐタイプのバス路線は、乗り換え不要でショートカットする形で行けるため、便利そうなイメージ。

 ではあるものの、同じ区間を走る別のバス会社の系統との兼ね合いや、実際の利用度合いを測りにかけた結果、最終的にこのようなダイヤに落ち着いたのが想像できる。

 (7)南01系統についても、現地に長く住んでいる何人かに、以前話を聞いたところ「あのバスまだあったの!? 懐かしい!!」のような反応が返ってきたのを踏まえれば、日頃の足としては随分前から使われなくなった路線と言える。

青葉台駅前バスターミナル。2025年3月の時点で同地を出入りする神奈中バスはレアキャラ
青葉台駅前バスターミナル。2025年3月の時点で同地を出入りする神奈中バスはレアキャラ

 最近は慢性的なバス運転士不足の問題もあり、物理的にバスを出せない切実な事情が見え隠れしている気がしなくもない。そうなれば利用の少ない路線系統から押し出されていくのは、自然な流れにして止むを得ない措置かも。

運行終了間際のバス停時刻表には、その旨を知らせる張り紙が添えてある
運行終了間際のバス停時刻表には、その旨を知らせる張り紙が添えてある

 神奈中バスが2025年3月に運行終了する路線バスに対して、運行ダイヤをベースに考察するなら、これなら仕方ないか…と再認識させられると共に、その殆どが役割を終える色合いが濃い、と見ておくのが良さそうだ。

【画像ギャラリー】超ローカル区間までカバーする神奈中バス(8枚)画像ギャラリー

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