東海道新幹線は沿線の都府県に1つは駅があるが岐阜県の駅はご存知だろうか。それが岐阜羽島駅である。岐阜市からもやや距離があり、主要なアクセスは名鉄羽島線すなわち名鉄なのだが、実は近鉄でも岐阜羽島駅に行けるのはご存知だろうか。今回はそんなちょっと変化球でずるい表現のアクセスについてお届けする。近鉄で行くとはいったいどういうことなのか。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■東海道線大垣駅から近鉄でアクセス!
降り立ったのは大垣駅である。JR東海道線、樽見鉄道と養老鉄道が乗り入れる駅で、駅舎は商業施設も入っているのでとても大きい。名古屋からだと新快速で約30分だ。
古くから地下水が豊富に湧き出る場所で水資源に恵まれており、水の都などと呼ばれている。現在でも市内各所に湧き水のスポットがあり、駅前にも井戸舟というものが設置されており水の都をアピールしている。
駅の南口にはバスターミナルがあるが、そこを発着するバスをよく見てみるとどうだろうか、「近鉄」と書かれているではないか。ということで、正解は「名阪近鉄バス」というバス事業者で、大垣市を中心に路線バスを運行している。
そう、近鉄に乗って岐阜羽島駅に行けるというのは名阪近鉄バスに乗車するということだったのである。近畿日本鉄道で行くとは言っていないのがミソだった。
■なぜ近鉄が?
ではなぜこの地に近鉄なのであろうか。近鉄こと近畿日本鉄道は鉄道事業からバス運送業、タクシーなどの交通としての企業、また不動産事業、ホテル・旅館事業、流通事業、旅行業に観光・サービスなど多岐に渡って事業を展開しているグループ企業である。
鉄道は2府3県に路線が及び、私鉄では最長の501.1kmの路線網を持つ。ただこの大垣にはグループ企業で元近鉄養老線だった養老鉄道が乗り入れているが近鉄色は薄い。
理由は現在に至る歴史を振り返るのが近道だ。名阪近鉄バスは1930年に岐阜県大垣市で創業した大垣自動車が始まりである。その後に近畿日本鉄道の子会社になった。
名阪近鉄バスは名神高速道路が開通する際に名阪間の高速バス計画が乱立し、運輸省の裁定の下で、国鉄バス、名鉄系で阪急や京阪も出資した日急(日本急行)、そして近鉄系で阪神や南海が出資した日本高速自動車(のちの名阪近鉄高速バス)の3社で運行を開始した。
最終的に名鉄系は名鉄単独出資になり名鉄バスに、近鉄系も近鉄単独出資になり名阪近鉄バスに落ち着いて現在に至る。国鉄は西日本ジェイアールバスとジェイアール東海バスに分割されて現在に至る。
2007年には三重交通グループホールディングスの子会社になり、現在は近鉄グループおよび三重交通グループホールディングスの一員としての位置付けである。よって当地で近鉄という名称のバスが走るのだ。ただ名阪近鉄バスは大阪市近郊を走る近鉄バスとは別の会社なので注意してほしい。
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