サバンナを駆けるライオンのイメージとちょっとバブルの名残も感じるエレガントなバスをカタログで見る

サバンナを駆けるライオンのイメージとちょっとバブルの名残も感じるエレガントなバスをカタログで見る

 全長7mクラスのハイデッカーというカテゴリーは、日産ディーゼル以外の国産バスメーカー3社では1980年代から製造していたのに対し、同社ではこういった小型の観光バスは製造していなかった。

今回の車両:日産ディーゼル スペースランナー7 コンパクトサイズハイデッカーバス KK-EN252DAN

(記事の内容は、2023年11月現在のものです)
執筆/バスマガジン編集部 カタログ提供/難波 有
※2023年11月発売《バスマガジンvol.122》『懐かしバスのお宝カタログ』より

■豪華志向を打ち出した全長7mのコンパクトなパッケージ

表紙。バスの車体はおろか人物モデルでもなく、リアルなライオンのイラストを大きくフィーチャー。このライオンはカタログ全編に渡って登場する
表紙。バスの車体はおろか人物モデルでもなく、リアルなライオンのイラストを大きくフィーチャー。このライオンはカタログ全編に渡って登場する

 初のお目見えは第30回東京モーターショー(1993年)でのこと。そのモデルが翌94年にスペースランナー7の名称で発売された。エンジンをミッドシップレイアウトとし、全軸エアサスを標準採用した。

 車体は富士重工のR18型M、西日本車体のボディを選択することもできた。このモデルは「新短期規制」には対応させずに生産終了となった。

 その後、U-EN210DAN、KC-EN211DAN、KC-EN250DANと進化を続けこのカタログモデルとなったKK-EN252DANが1998年排出ガス規制(長期規制)に適合させるため、1999年に小規模な改良を施して発売された。

 エンジンはターボ付きの240psを発生するFE6TA型のみとなる。生産数は少数にとどまり、この型式を最後に「スペースランナー7」の生産は終了となった。

■フルエアサス、ミッドシップエンジンなど走りの良さもアピール

表紙まわりも含めて全32ページ。バスそのものも豪華だが、カタログのページ数にもかなり力が入っている。まだかろうじて好景気を感じられた時代だ
表紙まわりも含めて全32ページ。バスそのものも豪華だが、カタログのページ数にもかなり力が入っている。まだかろうじて好景気を感じられた時代だ

 このカタログは1999年のもので、表紙のライオンがマスコットとなり、カタログの各所に登場している。随所で車両や風景と絡む女性モデルは、まだ1990年代ということもあり、バブルな感じの服装やメイクで登場している。

 このカタログからは、7mのハイデッカーという小型カテゴリーでありながらも、ゴージャスな装備品が徹底的に紹介され、華やかさを競っているかのよう。

 240psを発生する直6・7Lのエンジンとフルエアサスによる走りの良さも強くアピール、ミッドシップエンジンも確実にそのマウント効果を発揮していることがわかる。

 グレードは3クラスあり、最上級のスーパーラグジュアリーのみ定員23名の5列シート仕様、以下ラグジュアリーが同26名・6列シート、デラックスは同28名・6列シートの設定だ。

 バス旅行華やかなりし20世紀末の凝った車両であることが、カタログからもとても良くわかる。こんなエレガントなバスはもう出てこないだろう。

【画像ギャラリー】仔ライオンがご案内!! コンパクトなボディで力強く走る日産ディーゼル スペースランナー7をカタログで見る(16枚)画像ギャラリー

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