北海道南部を代表する観光地・函館の街がある函館市は、津軽海峡と太平洋に面した亀田半島と呼ばれるエリアの突端部分を占めていて、内陸部の市町境界を除いた外周のほとんどが海に囲まれている。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、函館市一周チャレンジの現地撮影写真と函館の位置関係略図があります)
■ひたすら海沿いのドライブルート
この函館市の外周には、海岸線に沿って国道278号線が通っている。整備された舗装路であり、マイカーやレンタカーを使って、函館市の外周をぐるっとドライブしてくるのはそう難しくない。
自家用車の類を使った場合、単純に回ってくるだけなら行程およそ130km、所要時間で3時間かからないくらいのボリュームになる。
しっかりした道が函館市の海沿いにずっと続いている……それなら同じ市内だし、公共交通機関だって最低限用意されていて、路線バスの一つでも通っていそう。
だとすれば、バスや電車(非電化含む)に乗って、函館市の外周を一回りして来られるんじゃ? そんな素朴な疑問を抱いて、やってみりゃ分かるとばかりに、朝食後そそくさとホテルを出てJR函館駅に向かった。
■反時計回りが良さげ
2025年5月の終わり頃、今回は日帰りプラン。一周するにあたって、バスや電車の運行ダイヤと持ち時間を考慮すると、どうやら反時計回りに移動していくのが無難らしい。
その場合、函館駅の向かいにある函館駅前のバスターミナルがスタート地点になる。最初に乗るのは函館バスが運行する「91A系統 恵山御崎行き」だ。
91A系統は駅前ターミナル6番乗り場から出ている。これから行く先はローカルエリアになり、91A系統含め終始あまりバスの本数は多くないようだ。
9:53発の便をつかまえて、国道278号線の海岸線沿いをしばらく南下していく。当然次のバスへの乗り換えが必要になるが、どこで降りれば好都合なのかが少々課題。
しばし悩んで、43分ほど進んだ先の「日ノ浜団地」で下車するのが最適と判断した。運賃は1,700円で、交通系ICカードが使える。
■さっそくカベが待ってるぜ!
日ノ浜団地に着いたのが11:33。ここで次に乗るバスは……え〜、ありません!!
はい、早速バス旅につきものな、あの究極的な移動手段“徒歩”の出番である。向かう先は椴法華と書く地名の場所。これ何て読むの? 「とどほっけ」が正解。
椴法華に函館バスの「椴法華支所前」というバス停があり、そこから函館市の海岸線沿いを北上してくれるバスが出ている。
お目当てのバスに乗るためには、日ノ浜団地→椴法華支所間を歩いて連絡だ。距離は6.9km、椴法華支所前発のバスが13:17。
おそらく1時間半もあれば行けるだろうとの予測。へいへい、歩きますよ。徒歩区間も国道278号線の一部であるが、地形の関係で海岸線から一旦離れて内陸を突っ切る。
その正体は、ごくたまに車が通るくらいの人気を感じない峠道。しっかり舗装はされているが徒歩なら軽く遭難できるハードスタイルだ。
しかしどうやらこの峠の区間、以前はバスが通っていたらしく、途中に元・バスベイらしきものが道路上に残されていた。後で古い時刻表を調べたところ、確かに昔はバスがあった。だけど今はない。
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