昔のバス vs. 最近のバス……パワーウエイトレシオで比べると昔のほうが軽いor重い?

昔のバス vs. 最近のバス……パワーウエイトレシオで比べると昔のほうが軽いor重い?

 20世紀中頃に作られたバス車両と最近のバス車両。双方を1馬力あたりが受け持つ重さ:パワーウエイトレシオで比べてみると、昔の車のほうが軽かった・もしくは重かったのだろうか?

文・写真(特記以外):中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、新旧バス車両PWR対比にまつわる写真があります)

■パワーウエイトレシオで重さ対比

最近の大型路線車のエンジンルーム
最近の大型路線車のエンジンルーム

 今回の少し前に、大昔のバスと最近のバスを、カタログに記されている本体重量を基準に、昔の車のほうが重いか軽いかを簡単に見て行った。

 そのさいサンプルに選んだ同じ車種を使用して、各車に標準で搭載されているエンジンのカタログスペックからパワーウエイトレシオを計算。

 その数値を踏まえて、定員や車体の大きさが、新旧それぞれ大体同じクラスの車同士で比べてみよう。パワーウエイトレシオは「本体重量÷最高出力」で出せる。

■メチャ重だった!? 戦前のバス

 最初は前回同様、戦前のバス vs. 最近のバスだ。ここで選択した戦前の車両は、1930年代に製造された「いすゞBX40」という、フロントエンジン/ボンネットタイプで20人乗り程度の車。

いすゞBX40シャーシの寸法図 『商工省標準形式いすゞBX40型自動車取扱説明書(1936)』より
いすゞBX40シャーシの寸法図 『商工省標準形式いすゞBX40型自動車取扱説明書(1936)』より

 同モデルには、4,390ccのガソリンエンジンを搭載、その最高出力は30.1馬力とされている。車両本体重量は合わせて3,930kgだ。

これをもとにパワーウエイトレシオ(以降PWR)を計算すると、約130.6kg/psの数値が出る。

 対する最近のバス車両は、BX40と同じくらいの輸送力を持つ、マイクロバスの三菱ふそうローザ。こちらは重量が3,650kgあり、2,998cc・175馬力のディーゼルエンジンを搭載している。

三菱ふそうローザの4代目モデル
三菱ふそうローザの4代目モデル

 これを計算するとPWR:20.9kg/ps。戦前のバスと最近のバスとで比べた結果が、【130.6】vs.【20.9】だ。

 数値を見る限り、エンジンのパワーを出す技術に乏しかった時代のバス車両は、PWR換算するとメチャ重だった!! ということになるようだ。

■1960年代のマイクロバスのPWR

 続いて、同じペットネームを持つマイクロバスの「ローザ」同士で見てみよう。古いモデルは1967年に製造されたB22Dのデータだ。

 25人乗り・重量3,100kgのB22Dには、3,520cc 92馬力のエンジンが積まれていた。PWRを求めると33.7kg/psになる。

 対するローザの数値は戦前のバスで計算したものと同じ。このため【33.7】vs.【20.9】の結果だ。

 単純な本体重量では1960年代のローザの方が軽い一方、PWR換算の場合は旧モデルのほうが重くなる。

■ボンネットバスのPWR

 次も1960年代の路線バス車両から。車種は1965年製造のボンネットバス「日産U690」だ。仕様によって若干異なるが、サンプルは定員53名、重量5,420kg、3,705cc 123馬力のスペックを持ち、PWRは44.1kg/ps。

日産U690(写真は1963年式)
日産U690(写真は1963年式)

 対する最近の同クラスのバスとして挙げられる例が、中型路線車の「いすゞエルガミオ/日野レインボー」。

 グレードによって異なるが重量はおおむね8,000kg。定員60名で、5193cc 210馬力のディーゼルエンジンを標準装備している。PWRは38.1kg/ps。

2023年式 日野レインボー
2023年式 日野レインボー

 双方を比較すると、【44.1】vs.【38.1】になり、が車両本体の重量はボンネットバスの方が軽いが、PWRでは最近の同クラスの車両よりも重い結果だ。

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