北海道の空の玄関口である新千歳空港(表記上の札幌)と、東端の有名観光地である知床半島のウトロとの間は、直線距離で300kmほど離れていて、公共交通機関を使う場合は高速バスか、JR線+路線バスを乗り継いでいくのが定石だ。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、新千歳→ウトロ一般路線バスチャレンジの現地撮影写真があります)
■新千歳空港→ウトロ 一般路線バスチャレンジ
新千歳空港→ウトロ間を、高速バスかJR線で行くと実距離が450〜490kmくらい。半日以上かかるボリューミーな行程が旅情を誘う。
ではこの区間を、高速道路に乗らない路線バスだけで行こうとしたら、果たしてゴール可能なのかどうか気になるところ。
言わずもがな乗り換え検索をかけても「そんなの知らん」と匙を投げられる移動方法ではある。
■AIさんはこう申しております
検索でダメなら、やはりどんな悩みも口から出まかせ……いや多角的方向性から勘案したご回答を述べてくださるAIさん(ChatGPT)にも聞いてみましょ。
「新千歳空港からウトロまで、高速道路を通らない路線バスだけで行くルートを教えてください」の質問で返ってきたのが……
【お答え】
新千歳空港からウトロ(知床方面)まで、高速道路を一切使わず、「路線バスのみ」でアクセスするルートは、残念ながら現時点では存在しないと確認されています。
なぜルートがないのか
(1)札幌〜ウトロ間は高速バスが主流
(2)新千歳空港からウトロまで直通がそもそもない
そのため、高速を使わない一般路線バスでは移動できません。
【終了】
……であった。確認されています、となればAIさんは「無理」と言い切ったと判断できる。しかし最近はハルシネーションなんて言葉も表面化してきているし、ホントに無理なの? これはぜひ真偽を確かめてみたい!
AIさん的には、Webに転がっている情報を根拠にしているハズ。それならこちらも、Webで調べれば出てくるデータだけを頼りに、とりあえず新千歳空港に飛んだ。
■上から行くか、下から行くか
2025年9月に決行。まず初めに、上か下か、どちらの方向から攻めていくかの選択が、行く末の全てを決める。
上は札幌・旭川方面、下を選べば苫小牧・襟裳岬方面を進む形だ。これはどちらを選んでも大丈夫そうではあった。
ところが上ルートの場合、新千歳の到着時刻とバスのダイヤの都合で初日は札幌市内泊まりになるが、ホテル料金が安くてもシングル素泊まり2.4万とか異様なまでに高騰していて、自動的に上ルートは選択から外れた。
■ウトロまでの路線バス全行程
苫小牧・襟裳岬回りを選択するとして、各行程を簡単に紹介していくだけでも長くなりすぎてしまいそうなので、ここではダイジェストでお送りしよう。日程・ルートは以下の通り。
行程中に他のバスを使って結果を同じにする行き方も一部なくはないが、乗ってきたものだけを紹介しよう。
【1日目】
(0)START!
(1)新千歳空港→〈道南バス 30系統〉→苫小牧駅前 27.6km 630円
(2)苫小牧駅前→〈道南バス 静内方面〉→静内 95.1km 2,350円
15:19発→19:55着 4時間36分 122.7km 2,980円
【2日目】
(3)静内→〈道南バス 浦河方面〉→浦河町役場 44.5km 1,300円
(4)浦河町役場→〈JR北海道バス 日勝線〉→様似 19km 590円
(5)様似→〈JR北海道バス 日勝線〉→広尾駅 84.8km 2,450円
(6)広尾→〈十勝バス 広尾線〉→帯広駅バスターミナル 91km 2,200円
9:00発→16:46着 7時間46分 239.3km 6,540円
【3日目】
(7)帯広駅BT→〈十勝バス 帯広陸別線〉→陸別 105.9km 2,560円
(8)陸別→〈北海道北見バス 陸別線〉→北見バスターミナル 63.8km 1,580円
(9)北見バスターミナル→〈北海道北見バス 常呂線〉→常呂 47.6km 1,400円
(10)常呂→〈網走バス 常呂線〉→網走バスターミナル 33.9km 1,070円
7:43発→17:55着 10時間12分 251.2km 6,610円
【4日目】
(11)網走駅前→〈斜里バス 網走線〉→斜里バスターミナル 42.4km 1,200円
(12)斜里バスターミナル→〈斜里バス 知床線〉→ウトロ温泉バスターミナル 37.4km 1,650円
(13)GOAL!
12:03発→17:10着 5時間7分 79.8km 2,850円
・移動距離合計:693km
・総所要時間 73時間51分
・移動時間 18時間13分
・宿泊を除くバスの待ち時間 9時間28分
・運賃合計:18,980円
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