300kmを下道だけで7時間かけて走るバス!? 釧路〜旭川を走る「サンライズ号」が異彩すぎる!!

300kmを下道だけで7時間かけて走るバス!? 釧路〜旭川を走る「サンライズ号」が異彩すぎる!!

 北海道・道東の釧路と道北の旭川。この二つの大きな町を結ぶ長距離バスが毎日運行している。道北バス/阿寒バスによる「サンライズ号」だ。

文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、サンライズ号の写真があります)

■道北バス/阿寒バス「サンライズ号」

サンライズといえばこれ?
サンライズといえばこれ?

 サンライズと聞くと、公共交通機関LOVEな向きには、まず東京発着の寝台夜行電車「サンライズ瀬戸/出雲」をイメージするかもしれない。

 ほか、関西圏〜九州間にも「サンライズ号」を名乗る夜行高速バスが走っているが、今回注目する北海道の「サンライズ号」は、日付をまたがない昼行タイプのバスだ。

 2025年秋現在のところ、旭川拠点のバス事業者・道北バスと、釧路を本拠地に持つ阿寒バスが共同運行している。旭川/釧路発ともに、7時台と12時台に出発する1日2往復のダイヤ設定。

釧路フィッシャーマンズワーフMOO前のバス停にサンライズ号現る
釧路フィッシャーマンズワーフMOO前のバス停にサンライズ号現る

 道北バス本社(旭川)〜阿寒バス本社(釧路)間が全区間に相当し、距離にすると約319.5km。旭川駅前と釧路駅前にもバスがそれぞれ立ち寄り、両駅間移動の場合は307.6kmになる。

 道北バス本社/阿寒バス本社ともにパーク&ライドに対応しており、こちらを利用する際は本社での乗降が便利だ。

■ちょっといい設備の昼行バス

 「サンライズ号」の乗車には原則予約が必要で、全席指定。バス予約のポータルサイトをはじめWebで簡単に手配できる。乗り方は一般的な高速バスと同じ要領だ。

1日2往復、サンライズ号の時刻表
1日2往復、サンライズ号の時刻表

 使用されている車両もまた、一度に300km以上もの距離を走るバスということで、高速バス用の12m級ハイデッカー車が標準。

 2025年9月に、釧路→旭川で12時台発の「サンライズ号」を利用した際は道北バス担当の便で、3列シート・車体中間下部にトイレ付きという、昼行用としては快適度が極めて高い車内設備を備えていた。車種はいすゞガーラ。

■見た目も乗り方も高速バス…だけれども

 予約方法もバス本体の種類も、高速バスとまったく変わらない性質を持っており、Webで見られる一部サイトでは高速バス的な位置付けにされていることもある「サンライズ号」であるが、乗る前からかなり気になる要素が一つあった。

釧路駅前バスターミナルを経由して市内を後に
釧路駅前バスターミナルを経由して市内を後に

 バスが走る距離は300km超。それに対して所要時間が7時間以上かかる点だ。高速道路を通るとすれば、少々スローな気がしなくもない。

 もしかしてサンライズ号、様式は高速バスながらも、高速道路に乗らない純粋な“特急バス”なのでは?

 一般道オンリーの長距離特急バスとなれば、最近はめっきり数を減らした印象が強く、なかなかどうして風変わり……そんな期待を抱きつつ、釧路市内からサンライズ号に乗車した。

■どこを通っていくのかな?

釧路空港方面への国道上で、朝に旭川を出発したサンライズ号とすれ違い
釧路空港方面への国道上で、朝に旭川を出発したサンライズ号とすれ違い

 サンライズ号は、釧路市内の主要乗降スポット、フィッシャーマンズワーフMOOと釧路駅隣のバスターミナルを経由して、釧路空港方面に向けてコマを進める。

阿寒湖バスセンターで10分ほど休憩
阿寒湖バスセンターで10分ほど休憩

 空港には立ち寄らないまま内陸部をひたすら北上してゆき、2時間ほど進んだ先の阿寒湖バスセンターで、1回目のトイレ休憩/併設コンビニ買い物チャンスを挟む。停車時間は10分ほど。

バスは阿寒湖バスセンターの裏に停まる
バスは阿寒湖バスセンターの裏に停まる

 さらに北上を続け、1985年まで営業していた国鉄相生線の線路があった近くを通りながら、津別を経由して北見バスターミナルへと滑り込む。

 北見バスターミナルでは30分ほどの休憩。所要時間の長さは北見での停車が多少関係しているとみた。

北見バスターミナルでは長めの停車時間が取られている
北見バスターミナルでは長めの停車時間が取られている

 ここでは旭川方面から来た釧路行きのサンライズ号が隣の発着レーンに並び、同路線のクライマックス的なシーンを眺めて楽しめる。北見発車は旭川行き/釧路行きともに同時刻(昼の便は17:00)だ。

旭川行き(手前)と釧路行き(奥)のサンライズ号が北見で並ぶ
旭川行き(手前)と釧路行き(奥)のサンライズ号が北見で並ぶ

 北見を出発すると西に方向転換。陽もだいぶ傾いて、北海道の内陸部らしい緑に囲まれた車窓が終わり、何もない暗闇の空間をバスだけが淡々と進むような様相に変わる。

日が暮れて、そろそろ車窓からの景色もおしまい
日が暮れて、そろそろ車窓からの景色もおしまい

 実はこのバス、自分でクルマを運転して走るのも楽しい、最大標高1,050mのドライブルート・石北峠を通過する。

 経路的な見どころであるが、昼発の便では完全に真っ暗のため、景色を楽しむなら朝の便、ということになりそう。

昼間の石北峠(別撮りです)
昼間の石北峠(別撮りです)

 石北峠を越えて層雲峡、上川を経由しながら、だんだんと人工物に囲まれたエリアへと推移。20時過ぎに旭川駅前のバスターミナルに到着する。釧路〜旭川間の運賃は6,700円だ。

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