北海道の札幌〜旭川間といえば、大きな都市同士を結ぶ交通の大動脈。移動手段としての公共交通機関も自由に選べるくらい揃っている。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、札幌〜旭川間の公共交通移動にまつわる写真があります)
■普段は電車か高速バスで
札幌〜旭川間を公共交通機関で移動するなら、「カムイ」、「ライラック」ほか札幌〜旭川方面を繋ぐJRの特急列車を使うのが手っ取り早い。
特急列車に乗った場合、136.8kmの距離を1時25分ほどで向かえる。本数は大体30分〜1時間に1本といったペース。2025年11月現在での運賃・料金は合わせて指定席で5,440円だ。
もう一つの主要な選択肢に、北海道中央バスが毎日運行する高速バス「高速あさひかわ号」がある。
こちらは札幌駅間〜旭川駅前およそ140kmの距離を、道央自動車道経由で結ぶ予約不要の都市間バスとなっていて、所要時間は2時間少々。
おおむね20〜30分おきにバスが出ているダイヤ設定で、運賃は2,500円と鉄道に比べ割安感があるのは他の高速バス同様だ。
■昔は簡単だった? 一般路線バスだけで行く札幌〜旭川
便利で快適な交通手段が2つも用意されているゆえ、日頃から上記以外を選ぶのは極めて独特な志向かもしれないが、この大動脈たる黄金ルートを普通の路線バス(一般路線バス)だけで移動できるのかが、やはり気になってくる。
後日様子を見に現地へ赴いてみたのだが、旅とは計画を考えている時が最も楽しいというお約束もあることなので、手始めに2002年と2025年の時刻表データをもとに、今昔で難易度に変化があるのか、そもそもバス移動が可能なのかシミュレートしてみた。
一般路線バスのみでの移動となれば、おそらく札幌〜旭川間のスター街道といえる、延長およそ29kmの日本一長い直線のある国道12号が背骨になるのでは? と予想。
古いほうから始めるとして、2002年当時の時刻表を参考にルートを考えてみたところ、やはり国道12号ベースが確実なようだ。
途中、数パターンから経路を選べたようだが、札幌〜岩見沢間に関しては一般路線バスだと真っ直ぐ進めず、少し迂回しながら抜ける必要があった。以下はバスのダイヤ的にも比較的きれいに繋がった具体的なルートの一例だ。
【2002年の札幌〜旭川一般路線バス縛りルート】
札幌大通→(夕鉄バス)→由仁駅前→(中央バス)→岩見沢ターミナル→(中央バス)→美唄ターミナル→(中央バス)→滝川ターミナル→(中央バス)→旭川ターミナル
※逆向き(旭川→札幌)も問題なし
2002年当時では、合わせて5つの路線を乗り継いで、札幌〜旭川間の移動ができたようだ。
とはいえ比較的きれいに繋がってはいるものの所要時間はそれなりで、いずれの方向でも7〜8時間といったところだった。
■2024年が最後の年に!?
続いては2025年の時刻表データより。最初に調べたのが同年9月だったので、その時点でのシミュレート結果を記すと、以下のようなルートができた。
【2025年9月の札幌〜旭川一般路線バス縛りルート】
札幌駅間→(JR北海道バス)→釣橋→(軽い徒歩)→大谷地ターミナル→(JR北海道バス)→中央長沼→(軽い徒歩)→長沼ターミナル→(中央バス)→岩見沢ターミナル→(中央バス)→美唄駅前→(徒歩11km)→奈井江高校→(中央バス)→滝川駅前→(中央バス)→深川市立病院前→(中央バス)→旭川駅前
一見今も変わらず繋がっているように見えるが、美唄駅前〜奈井江高校の間に「徒歩11km」という文言が挟まっているのがポイント。
実は同区間を通っていた中央バスの「滝川美唄線」が2024年9月に廃止となり、現在は国道12号経由でのバスルートはここで分断されてしまっている。
そんなの歩けばいいというマッスルシンキングを通せば理論上の移動こそ可能であるが、それを言い出すと東京→名古屋だって歩いていけるぞ、のような至って低いほうの次元へと傷口が広がる危険性が極めて高く、徒歩10kmとか出た時点で素直に諦めるのが肝要だ。
ともあれ2025年9月の時点で、札幌〜旭川間を過去の要領で国道12号をベースに、一般路線バスだけを乗り継いで途切れず進むことはもうできなくなっていた、という結論に落ち着いた。








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