新幹線のために作られた「新」のつく駅と、元になった地名を持つ在来線の駅。名前こそよく似ているにせよ、お互いが直接の関係を持っている場所はそれほどない印象が強い中、それでもこういった「新〇〇」な駅とオリジナルの○○駅の間には、橋渡しになるようなアクセス手段が、大小にこだわらなければ何かしら用意されている気がする。そのあたりどうなっているのか、今回注目するのは新白河駅と白河駅の間を取り持つ直通アクセス事情だ。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、新白河駅 vs. 白河駅直通アクセス関連の写真があります)
■日本で唯一の「村」にある新幹線駅
新白河駅は、東京から約180km北上した場所にある、東北新幹線の駅の一つで、通常は「やまびこ」・「なすの」といった、非速達タイプの列車のみが停車する。
開業は東北新幹線の営業開始と同じ1982年6月。『西郷村立村百年史』を開くと、誘致によって駅の設置が決まったところが大きいようで、東北本線の白河駅から3kmほど離れた西郷村に位置している、1959年に開業した東北本線の旧・磐城西郷駅に併設されることになった。
当初地元では、駅名を「新西郷駅」、「甲子高原駅」、「高原白河駅」にすべきとの意見が出たそうだが、土地を提供したのは村ながらも、駅舎はあくまで国鉄の所有物という解釈から、国鉄の仮称に沿う形で駅名が「新白河駅」に決まったと言われる。
国鉄が発行した『東北新幹線工事誌 黒川・有壁間』によれば、“磐城西郷駅に併設されることになったのは、東北本線が白河周辺で鍋づるの形をしており、ルート的に市中心部を横断することになり支障建物が多くなること、南湖公園、古峰城(※原文ママ)等の名所旧跡に影響すること等からルートが決定した”とある。
2025年現在も新白河駅の所在地は西郷村で、日本で唯一「村」にある新幹線駅の座をキープしている。ただし郡山寄りのホームの端だけ村の境界から若干ハミ出ており、そちらの所在は白河市だ。
■同じ路線の隣駅同士
新白河駅の地名部分の元になった白河駅の開業は1887年と、日本の鉄道黎明期まで遡れるほどの長い歴史を持つ。
そんな白河駅と新白河駅の間をタクシー以外の公共交通機関で移動しようと考えた場合、どんな手段が選べるだろうか。
まずは電車を使うパターン。新白河/白河駅ともに東北本線の停車スポットで、線路伝いに行けば距離は2.8kmと結構近め。
1時間おき程度と、本数があまり多くないのが弱点ながらも、タイミングを合わせて普通列車に乗れば一駅、3分くらいで移動できる。運賃は150円。
最近のダイヤ動向を見ると、2025年12月現在で新白河駅は普通列車の区切り目になっており、ほとんどの列車が新白河始発もしくは新白河止まりで、白河駅が始発/終点の列車はかなり少ない。
■なさそうである!? 直通路線バス
東北本線のほかに新白河〜白河を繋ぐレールはないため、鉄道ではない公共交通があるとすれば路線バスになる。なにしろ電車で3分の距離感ゆえ、果たしてバスがあるのだろうか?
現地へ赴いての様子確認と時刻表データを噛み砕いてみたところ、これが意外とあるようだ。新白河駅ベースで話を進めるとして、同駅前には「新白河駅東口」、「新白河駅高原口」、「新白河駅」バス停が設置されている。
東口が特に規模が大きく、福島交通やJRバス関東の路線バスと高速バス、高原口は福島交通の路線バス、新白河駅には白河市街地の循環バス「こみねっと」が発着している。
どの乗り場からも白河駅前を通る、もしくは駅前が始発/終点のバスが出ており、最短ルートを走るもので移動距離3km程度、所要時間は10分。
福島交通のバスは行き先が「石川町役場」、「関の森公園」、「白河駅前」、「白河厚生総合病院」になっているもの。
JRバス関東は「白棚線」全便が白河駅まで行き、いずれも所要時間は10分台。最も本数が出ているのはJRバス関東の白棚線で、空白の10時台を除いて大体1時間おきだ。
循環バスの「こみねっと」は、中循環・南循環・西循環の3種類あるルートのうちどれも白河駅に立ち寄るが、寄り道をする経路がとられている関係で、コースによっては30〜50分ほどかかる。







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