電車やバスを利用するにあたって、会社によっては1枚の切符で指定の期間と範囲内を自由に乗り降りできるフリー切符の類を発売していることがある。静岡県の東海バスもその一つだ。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、東海バスと神がかり的な紙の切符にまつわる写真があります)
■東海バスのフリー切符
東海バスでは何種類かのフリー切符を発売していて、旗振り役的な存在が、同社の一般路線全線が乗り放題の「東海バスフリーきっぷ」だ。
2日間用と3日間用があり、値段は前者が4,900円、後者は5,600円。額面だけ見ると「結構するね」と感じるかもしれないが、東海バスはバスの運行範囲が広く、特に伊豆半島の奥の方・西寄りを攻めようと考えた際は東海バスが移動の主軸になる。
バス路線一つ一つの距離もそれなりに伸びるため、運賃が4ケタ台に達するのはごく自然。食べ放題のバイキングに例えて「最初からコメを食わない」くらいの小技を用意しておけば、それほど難しく考えなくても元が取れるはずだ。
■値段これで合ってます?
ともあれ2025年12月、ちょっと東海バスを利用して伊豆半島のほうへ行ってみようと思い、多分現地でバス結構乗るだろうと事前に公式サイトでフリー切符の確認をした。
すると何やら「半額」の文字が……表示されているお値段は3日用で2,800円。最初エラーか何かかと思ったものの、この値段で合っている様子。
サスガに随分安い気もするが、よくよく読んでみると2025年9月1日〜2026年2月28日の期間を対象に、その表示の通り半額キャンペーンを行っていて、ちょうど実施期間中に当たったようだ。
「静岡県 交通事業者等による周遊観光促進事業」の助成金を利用して半額を実現しているとのこと。最近は自社のサービス範囲内で「ここまでやっちゃってホントに平気?」と、思わせるくらいの割安感を強力に押し出したフリー切符系は珍しくなり、その代わりに助成金が費用を肩代わりするタイプが主流へと変わった印象がある。
この東海バスのフリー切符キャンペーンを見てすぐ、何年か前に、JR北海道が助成金を利用した全線フリーパスを発売したことがあり、近年稀に見るバーゲンプライスと自由度の高さに、かつて“神きっぷ”と呼ばれた逸品がシレッと売られていた往年の時代を思い起こさせてくれたのと、ついつい重ね合わせてしまった。
■半額でゲットするための条件
東海バスのフリーきっぷを半額で購入するにあたって条件がいくつか。まずは東海道新幹線のきっぷをチケットレス購入できる、JR東海の「EX会員」であるのが必須。
もう一つは、スマートフォン等のEXサービスを表示可能な機能の付いた携帯端末を持っていること。EXアプリを普段使っていれば、そのままアプリを開いてブラウザ移動→購入ページに進めばOK。
手配した時点では別の割引クーポンやEXポイントの重ねがけもできた。支払いはEX会員紐付けの決済方法が使われる。
Web上で行うのは購入手続きまでで、現物のフリーきっぷの入手は現地で引き換える。引き替え場所が決まっており、購入する段階で、「三島駅/修善寺駅の東海バス対応窓口」もしくは「駿河湾フェリー清水港乗り場」から選ぶ。
東海バスの運行範囲である、熱海駅や伊東駅周辺では引き替えできないとのこと。また、引き替え可能なタイミングは購入手続き時に指定したフリーきっぷの利用開始日のみで、事前事後の引き替えは一切不可となっている。
それにしても、複数日にまたがるものは「前日までの発売」という条件のつくフリーパス系も多い中、東海バスのフリーきっぷは利用当日12:00まで半額購入可能となっているのも、“(やるかどうかは別として)思い立ったら即GO!”が実現できてしまう旅の醍醐味に触れられて嬉しいところ。




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