独立3列シートのスーパーハイデッカー!! あの頃は乗る楽しさと魅力が溢れてた・・・ 【高速バスアーカイブ第7弾】


 広島から福岡へ至る昼行路線であったミリオン号。車両は夜行並みのスーパーハイデッカーの29人乗りで、当時の豪華版車両として定番のタイプであった。

執筆/写真:石川正臣(バスマガジンvol.82より)


昼行便にとっては中央席は左右を見通せる特等席だった!!

広島バスセンター-福岡天神「ミリオン号」(広島電鉄/相手会社:西日本鉄道)

広島電鉄のミリオン号。このとき乗車したのがこのモデルだ

 当時、昼行専用の3列シートといえばほとんどの場合で2:1だったが、このミリオン号は夜行兼用でもないのに独立3列だった。

 カラーは若干異なっても両社共通デザインであり、あくまでも昼行専用車両であった。車内には乗務員仮眠室はなく、座席のリクライニングも斜角度が昼行仕様の浅いものだった。

 このバスには広島バスセンターから乗車した。乗車が定刻通りに開始され、発車1分前、列最後に係員にチケット渡せば「よしそろった」のかけ声。豪快に車両が動き出し、センター3階から一気に急坂を下りる。

相手会社・西日本鉄道の車両。同車体で同デザインだがライン部分のカラーが異なる

 広島バスセンターのスロープを下ることは何度も経験したが、スーパーハイデッカーからのハイアングルはまた格別だ。同時発車の路線バスも追随しているかのように走り出した。

 指定された席は前でも後でもないし窓側でもない、ほぼ真ん中のほぼ中央。このとき初めて気がついたが、昼行便にとって中央席は左右見通せる特等席なのだ。

 中国道ではすべて山の中の道路を走る。周囲すべてが緑に包まれ、いかに険しい山を切り開いて開通した道路なのかがわかる。

 そんなとき、対向に同じデザインのバスがやって来た。西鉄のミリオン号だ。いままさに、関門橋を渡り九州のバスが本州を走っている。ライトをパッシングし合って、数秒の挨拶が交わされた。

車内は1:2でなく独立3列シート。こちらは西鉄車両のもの

 これが夜行だと同じデザインでも暗さから一瞬しか確認できないが、昼行の共通カラー車だと視認に余裕があり、お互い順調に運行されているよ、という報告をし合っているかのようにも受け止められた。しかし夜行でも近年は各社が統一の自社カラーとなり、便数も増えてこんな光景も見られなくなってきた。

現在運行中の4社の中にこの2社がいないのが悲しい

 走りぬいているうちに関門大橋が真っ青に広がる。夜行で未明のここを何度も通っていたが、こんなに青一色が広がっているとは、分かってはいたものの、あらためて新鮮さと驚きを感じずにいられなかった。

 九州へと入る。初の降車地は北九州高速道バスストップ。1人が下りる。さあここから九州の地を走り抜く。いま広島のバスが九州道を快走する。つい先ほどすれ違った九州の西鉄が中国道を快走するのと同じ感激に見舞われた。

 そして博多に入る。その後、福岡市内を走り福岡天神に到着した。陽は傾き、開店直後の福岡屋台で疲れを癒した。

観光地、広島中心地の原爆ドーム近くにあるバスセンターより旅ははじまる

 ミリオンは新幹線と並行したルートを走っていたが、運賃はリーズナブルであったものの、所要時間時間では勝負にならず、やがて運行中止となってしまった。しかし現在、この区間は別の事業者4社で再度運行され、当時の6往復よりも多い10往復の運行が実施されている。

 さらに高速道路の延長によって所要時間も短くなり、盛況路線へと成長したものの、現在の路線にこの2社が含まれていないのはどうにも悲しい。

 そして当時のような独立3列29人乗りスーパーハイデッカーという仕様の、乗って楽しい長距離バスの車両が運用されていないことにも、少し寂しさ感じる。