とかく、本州の地方空港は、何事も「県単位」になりがちだが、九州では「空港は地域の共有施設」といった意識が強く、それを支えているのが空港を発着するバスのようで、佐賀に見られるように、便利な空港への流れをつくっているのもバス路線なのである。
文/写真:谷川一巳(バスマガジンvol.83より)
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■隣県の空港を使いやすくしている都市間バス網!?
日本の地方空港は県単位の意識が強く、空港を発着するバスも空港のある県の都市からが中心になる。ところが九州ではそういった保守的な考えが希薄に感じる。
1998年に佐賀空港が開港したことで、九州ではすべての県に空港がある。しかし、九州では隣県の空港が利用しやすく、それを支えているのが都市間バスである。
九州産交バスと大分バスが共同運行する熊本~大分間の「やまびこ」は熊本空港を経由するので、大分から熊本空港利用は容易である。
同様に、九州産交バス、鹿児島交通、南国交通が共同運行する熊本~鹿児島間の「きりしま」と、宮崎交通と南国交通が共同運行する宮崎~鹿児島間の「はまゆう」は鹿児島空港を経由するので、熊本や宮崎から鹿児島空港利用も容易となる。
実際、これらの高速バスに乗ると、熊本空港や鹿児島空港で乗降する客は、2~3人ではあるが必ずいるといっていい状況だ。
このように都市間バスが空港に寄ったり、空港を始発にしたりしている九州だが、隣県への空港バスが発達していると、「空港利用者は便利な空港に流れる」ということもはっきりしてくる。
佐賀駅前の佐賀駅バスセンターから佐賀空港への空港バスは航空機の出発便に合わせて佐賀市営バスが1日6便あり、これに国際線は便のある曜日のみ接続する便が運行される。しかし、同じ佐賀駅バスセンターから福岡空港行きは西日本鉄道が23便運行している。
明らかに佐賀からは佐賀空港より福岡空港のほうが便利であり、それもバス路線によっている。