最初は1区間だけ乗車
さて、相模大野駅北口のバスターミナルに降り立った。神奈中のバスが次から次へと発着する中で、最初の目的地停留所は「相模女子大前」だ。別に女子大に用があるわけではないが、最寄りのバス停がそうなっているだけなので乗車。大60系統(女子美術大学行き)と大59系統(北里大学行き)のどちらでもよい。
大学なので郊外のキャンパスまで連れていかれるのかと思えば、次の停留所が相模女子大前だった。乗車時間は2分程度だ。
女子大生にはクロワッサンが人気?
相模女子大学の門の前にある「ベーカリーHIMUKA」は、自店でパンを焼いているのでタイミングにより焼きたてのパンに出会うことができる。店主に聞いてみるとHIMUKAとは旧国名の日向(ひゅうが)、つまり現在の宮崎県のことを指し、先代からのゆかりがあるのだという、日に向かって明るく元気よくという意味もあるようだ。
店の前にある相模女子大学の学生もパンを求めるようで、クリームたっぷりのクロワッサンが一番人気だそうだ。記者が食べたのは「そのまんまかぼちゃパン」。カボチャをあんにしてパンで包んだもので、カボチャの鮮やかで明るい色はそのままに、自然の甘味をいっぱい含んだ優しい甘さのパンだ。
地元民が通う本物の大福
相模女子大前から順方向で同じ系統(どちらでもよい)に乗車して、4停目のみゆき台団地停留所で下車。乗車時間は約4分。ここにあるのは「盛光堂」という和菓子屋だ。昔の和菓子屋さんはもち米を使うので、おこわ等のお弁当も売っていたものだが、同店も昔ながらのスタイルで赤飯やいなり寿司を売っている。
名物は豆大福で、国産のもち米と北海道産の小豆を使用した大福が人気だ。季節商品としてはいちご大福があり、ジューシーなイチゴがこしあんをまとい、大福に収まっている。また市内にJAXAがあることから「はやぶさ」が到達した小惑星をイメージしたコラボスイーツもある。
黒い色は黒ゴマを使用して、食べるとゴマの風味が広がる。たまたま記者がいるときに買いに来た近所のおばちゃんに話を聞いてみると、「美味しいのよ~、その日に食べる分をほぼ毎日買いにくるよ~」と気さくに応じてくれた。地元民に愛される、ここでしか買えない大福だ。
新鮮な卵でTKGを堪能
みゆき台団地停留所からまた順方向に同じ系統で5停目の麻溝台で下車。目の前にSweet eggsという卵屋さんがある。イートインスペースではTKG(卵かけご飯)を堪能することができる。
この辺りはたまご街道と名付けられ、養鶏場やスイーツ、料理店が並ぶ。同店ではTKGをはじめカルボナーラやオムライスを食べることができ、卵はおかわり自由だ。しかしデフォルトで付く2つの卵で十分だった。
お土産は帰りの電車に乗る直前に!
今回の相模原市のバス旅はこれで終了なので、麻溝台停留所から逆方向のバスで相模大野駅北口に戻る。駅ビル隣接のボーノ相模大野2階にあるsagamix(さがみっくす)は相模原市のアンテナショップだ。
アンテナショップが市内にあるのは妙だが、そのおかげで相模原市のお土産はここでそろう。よって電車で帰る直前に買い物を済ませればバス旅中は現地で購入したものだけを持てばよい。
相模原市は特に有名な観光地があるわけでもなく、特に有名な名産品があるわけでもない。しかし、それゆえにそれぞれの地域の特長を生かしたここでしか手に入らない「有名ではない」名産が多くあるので、「相模原に来たらコレ!」という観念にとらわれず、自分好みの買い物ができるのが最大のメリットだ。