今回の乗りバスレポートは都営バスの上58系統だ。上野松坂屋前と早稲田を結ぶ路線で、直線距離ではわずかだがこの間をぐるっと「Ω」の形で走る路線だ。沿線風景は画像ギャラリーに収録しているので合わせてご覧いただきたい。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
写真:小野寺利右
スタートは不忍池沿いから!
同じ上野と早稲田間を乗り通すなら上69系統の方が6分ほど早い。上58系統は8km強を45分ほどを掛けて走る。今回は上野松坂屋前から乗車した。
上58系統は便数も乗客も多く、前のバスが発車してもすぐに次のバスに乗車する乗客が並び始めるほどの好調さだ。鉄道駅から微妙に外れた場所を経由し続けるので、沿線住民にとってはバスの方が便利という側面もあるだろう。
中央通りの上野松坂屋前を出発した上58系統はすぐに上野公園に停車する。ここからしばらくは不忍池沿いを不忍通りで北上し、根津駅前で東京メトロ千代田線に接続する。
根津神社にほど近い根津神社入口を通過すると千駄木付近を通り抜け、団子坂下、道灌坂下、動坂下と「坂下」という停留所が続く。このことからわかる通り、不忍通りは地形的に谷底を走っているので周囲の見通しはあまり良くない。団子坂下で千代田線の千駄木駅と接続する。
路線上最大の観光地「護国寺」
引き続き不忍通りを走り続けると千石一丁目で都営三田線千石駅と接続する。同時に中山道(白山通り)を渡り、大塚三丁目付近で春日通りを横断すると、本路線最大の観光地である護国寺がある護国寺正門前に停車する。
護国寺は国家安泰祈願のため、江戸幕府(綱吉)の命により建立された真言宗の寺院で歴史的著名人の墓所も多い。ここでは有楽町線の護国寺駅と接続する。
ようやく不忍通りを離れて音羽通り、目白通りへと進み、江戸川橋で有楽町線江戸川橋駅と接続するほか、江戸川橋交差点を通過するほかの都営バス系統や、文京区コミュニティバス[びーぐる]とも接続する。
神田川沿いを新目白通りで西に進み、都営バス早稲田営業所の手前の降車専用停留所で降車扱いをし、バスはそのまま道路沿いの営業所に回送で入庫する。なお都電荒川線の早稲田電停は、営業所を通り越した次の交差点上にある。