ド迫力の水陸両用バス! 必要な免許と構造はどうなってる?


 陸上ではバス、また水上では船舶という水陸両用バスを観光地などで見かけることがある。どちらでも走れるバスだが、どのような構造をしているのか? また、どんな資格で運転し、操縦はどのようにしているのか? 実際の水陸両用車を取材してきた。

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)

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トラックのシャーシを利用! 救命胴衣も備える必要アリ

 現在走っている水陸両用車はトラックのシャーシ(骨組み)をベースに製造されたものが多く、最初からバスまたは船舶として製造されたものではない。さらに船舶として航行するには喫水の問題もあり、陸上での客室床面はかなり高い位置になる。

 よって低い位置にドアを設置して車内の階段で客室に上がるハイデッカー車のような形状にはできない。浸水を防ぐためには客室床面から直接タラップを降ろすしかなく、これを利用して乗降する。この形状から水上の桟橋から乗船することは想定されていない。

全長11.9m・全幅2.48mのほぼバスのフルサイズ

 ベースがトラックなので運転席はトラックのそれに船舶用の操縦機器を追加した形になる。トラックの荷室になる部分は当然だが客室として設計され、座席にはシートベルトも装備される。窓はない代わりに荒天の際には透明シートを降ろすことで雨を防ぐ。救命胴衣等の法定艤装品は当然のことだ。

 バスとして道路を走る際にはタイヤを使うので運転方法はバスと全く同じだが、サスペンションは板バネである。一方で水上で航行する際にはタイヤは使わないので、スクリュー(プロペラ)で推進力を得る。バスのハンドルもいらないので、別の舵輪を操作して舵で針路を決める。速力は概ね6.5ノット(時速12㎞)程度だ。

登録は自動車と小型船舶

 バスとしての登録はナンバープレートが付いているし、小型船舶としては登録番号が側面に書かれているので、車両はダブルライセンスだということがわかる。

バスの貸切登録表示と小型船舶の登録番号に車番等が混在している

 車内にはバスとしては自動車検査証(車検証)が積まれているし、小型船舶としては船舶検査証書(船検証)が掲示されている。つまり所定の年月で車検と船検の両方が必要だということだ。

免許はどっちも必要! 着水したらリモコンで操作

 運転・操縦する人については、バスとしては貸切バスとして登録されているので、営業運転では大型二種免許が必要だ。水上に入り機関を始動させると今度は一級または二級小型船舶操縦士と、旅客船を操縦するための特定操縦免許が必要で、人もダブルライセンスでなければならない。

記者の免許証

 運転・操縦操作の実際は、専用のスロープがあり水面まで降りていく最終段階で船舶の機関を始動する。意外にも勢いよく着水するので迫力は満点だ。船舶の進水式をイメージしていただくとつかみやすいだろう。

陸上からスロープろ下るとバスから船舶になる

 着水するとバスのエンジンを停止する。ハンドルから舵に、さらに機関の出力や逆転を操作するリモコンを操作する。船舶として航行中は足は使用しない。

上陸のほうがシビアか?

 水上から上陸するときは、スロープを駆け上がればいいだけなのだが、水上と違い車輪が左右同時に着かないとバランスを崩してしまうので操縦はシビアなようだ。

 上陸地点に近づいたら微速前進で風を読みながらスロープに向けて正対する。そしてバスのエンジンを始動し、風に流されないように舵を取り車輪がスロープに完全に着いたことを確認したら、ゆっくりとバスのアクセルを踏みスロープをエンジンの駆動力で登る。完全に陸上に上がったのを確認して、船舶の機関を停止する。

運転席には自動車用と船舶用が混在

 あとはバスの運転と同じだ。道路に出ると道路交通法に従って走る。ちなみに水上では航行する水面により異なるが、海上衝突予防法・海上交通安全法・港則法と水面の属する自治体の条例等に従い操縦する。

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