バスの非常扉の場所とか構造とか……あれでいいのか!?


 ちょっといま、閉じ込み事故などがあった関係で非常扉の存在が注目されている。その柱は「バスの非常扉はなぜ原則として向かって後方右側なのか?」というものだ。ということで、非常扉はこのままでいいのか!! 徹底分析する。具体的な非常口開扉手順は画像ギャラリーで実車を用いて説明する。

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
取材協力:フジエクスプレス

【画像ギャラリー】非常口開扉手順を実車で解説!(4枚)画像ギャラリー

結論は法令でそうなっているから!

 質問の要旨はこうだ。「バスによく乗る人ならその存在を知っているかと思うが、そもそもなぜ非常扉はそこにあるのだろうか。もし右側を下にして横転したら、右側に衝突したら……。」という不安とも取れるが、質問者にとっては深刻なのだろう。最近はバスの事故が重なっているので、なおさらかもしれない。

具体的な非常口の開扉手順は画像ギャラリーで!

 結論から先に言ってしまうと非常口扉は保安基準でそう決まっているから右後方なのだ。正確には定員が30名以上のバスと幼稚園バス等の幼児専用バスに設置義務がある。非常口扉の大きさにも規定があり、幅が400mm以上で高さが1200mm以上でないといけない。また施錠は不可で、手動でしかも外側に開かなければならない。

車両が古くても新しくても非常口は概ねこの位置だ

 非常口は内側からはカバーを外してレバーを引けば開く。外側からは透明なカバーが付いているのでこれを叩き割って中のレバーを下げれば開く。

 正規の乗降口を非常扉として使用する際には、車内にも車外にもドアコックがあるので、コックをひねればドアは手で開けられる。車内のドアコック位置は赤枠で囲んであるので乗車したときに確認しよう。

 さらにダブルデッカー車では各フロアに非常口扉を設置しなければならない。同時に高い位置の客室では避難梯子も設置しなければならない。スーパーハイデッカー車やダブルデッカー車の場合は最後尾に非常口が設置されている場合もある。

なぜ右後方なのか?

 さて、法令により設置しなければならないのは理解できるとして、その理由はなぜなのかというと、日本が左側通行だということにある。左側通行の日本ではバスの乗降口は2ドア路線車でもトップドア車でも左側にある。右側から乗降することはありえないからである。

ハイデッカー車の非常口側

 バスの事故で乗客が脱出しなければならないシチュエーションとして最も多いのは横転と衝突(追突)だ。まずは横転の場合は、どちらかにしか横転はしないので、仮に右に横転した場合は左側にある正規の乗降口から脱出すればよい。左に横転した場合は乗降口が使えないので、右側の非常口から脱出するという理屈だ。

 次に衝突の場合は「追突する」場合と「追突される」場合が考えられる。追突したほうだと前方がつぶれる可能性が高いので、前方の乗降口は使えず後方の非常口扉から脱出することになる。追突されたほうでは逆に後方がつぶれる可能性が高いので、前方の乗降口から脱出できるという考え方である。

例外的に非常口がない場合は「叩き割る」

 このように非常口は日本では法令に定められた必要な設備なのだが、まれに非常口がないバスもある。一部の輸入車がそうだ。例えば連節バスのメルセデスベンツ・シターロGには非常口がない。その代わりに窓枠に破壊用のハンマーが設置されている。非常口はないが、ハンマーで窓ガラスを叩き割って脱出することができるので、国土交通省の特認で走ることができる。

小型車の日野ポンチョは仕様により異なるが写真の車両は後方

 このハンマーは目立つ赤色で薄く軽いものだが、乗車すると目立つのですぐにわかる。ハンマー本体は軽い樹脂製だが、先端は確実にガラスを破れるように金属になっている。

ハンマーの一例

 今回は本誌に寄せられたお便りの中から非常口扉について解説をしたが、位置やドアの機構までちゃんとした理由があることを知っていただければ、いざというときに役に立つかもしれない。

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