東京都西端の都バス最高所を走る「梅76系統」が尊すぎる!!

■山の緑に映える都バスのグリーン

 当日は埼玉県側から徒歩で峠越えをして上成木バス停に向かった。現地到着後40分以上の猶予があり、時間まで周辺を散策して過ごした。

 上成木のバス停には、グリーンでおなじみのバス停標識のほか、上屋(屋根)とベンチ、隣に簡易トイレも完備している。どれも落ち着いた色調の木材を使い、周辺の環境と雰囲気を合わせてある。

上成木バス停には、上屋とベンチ・トイレが設置されている
上成木バス停には、上屋とベンチ・トイレが設置されている

 定刻より3分遅れて、バスが大きなカーブを描いて短絡路に入ってきた。電車もバスも、ローカル線が遅延しやすいのは良くあることだ。

 車両は2019年式のいすゞエルガ。見慣れたグリーンの入った車体ながら、周辺がグレーの高層建築ではなく、緑に囲まれた山深い場所で都バスを見ると新鮮な感じがする。

 3分遅れということで、到着時刻=出発時刻である。もしトンボ返りだったら滞在時間0分確定だ。行先表示を「裏宿町」行きに切り替えて、そそくさと上成木を発車する。

 多摩エリアの都営バスでは、距離に応じて運賃が上がる対キロ区間制を採っている。梅76系統も後ろ乗り・前降りの後払い方式だ。交通系ICカードが使える。

■山を降り街を目指す

 都営バスで最も標高の高い場所がスタート地点だけに、基本的には下り坂が続く。途中で地元の利用者を3人ほど乗せて順調に進んでいく。

 上成木から5kmくらいの地点で、いちどメインルートを外れ、約1.4km先の「北小曽木(きたおそき)」という停留所に寄り道する。

 北小曽木に着くと、折り返して来た道を戻る。このような枝分かれが経路が含まれる路線というのもまた乗りバスのロマンを掻き立てる。

いったんメインルートを外れ、寄り道して折り返す
いったんメインルートを外れ、寄り道して折り返す

 左右を山に挟まれていた景色が、だんだんと人工物の多い風景に変わっていき、街へ向かっているのが実感できる。

 始発から8kmほど進んで、メインルートの成木街道が都道53号線から194号線へと変わり、根ヶ布バス停を過ぎる頃には、車窓の様子もすっかり街中だ。

 バスはJR青梅駅よりも先に、隣の東青梅駅を経由する。拝島や立川方面へ行くなら東青梅で降りるほうが距離的に近い。ただし、上成木11:23発のバスでアクセスした場合、東青梅駅でも青梅駅でも直近で乗れるのは同じ電車だ。

 東青梅駅で、まとまった数の利用者があった。東青梅を出て13分後、総所要時間41分でJR青梅駅前のバス停に到着した。運賃は430円だ。

終点の裏宿町はJR青梅駅のさらに先だ
終点の裏宿町はJR青梅駅のさらに先だ

 東京の端っこをカバーする梅76系統。本数が超少なく、日帰りで気軽に乗りに行くには少々難があるものの、都バスがこんな山の中を走るんだ!? という意外性に大変な魅力を感じた。

【画像ギャラリー】都バス屈指のヤマ路線・梅76系統(10枚)画像ギャラリー

最新号

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

バスマガジン Vol.126は9月20日発売!! 美しい写真と詳細なデータ、大胆な企画と緻密な取材で読者を魅了してやまないバス好きのためのバス総合情報誌だ!!  巻頭の[おじゃまします! バス会社潜入レポート]では、東急バスを特集。東京都から神奈川県において都市部から住宅地、田園地帯まで広いエリアを綿密なネットワークを展開、さらに高速路線バスやエアポートリムジンも大活躍。地域住民の足としてはもちろん、首都圏の動脈ともいえる重要な存在だ。  続く特集は、ついに日本に上陸しさらに種子島での運行が決まった、ヒョンデの電気バス[ELEC CITY TOWN]の試乗インプレッション。日本におけるヒョンデの本拠地である横浜・みなとみらい地区で、徹底的にその性能を確認した。  バスの周辺パーツやシステムを紹介する[バス用品探訪]では、なんと排出ガスからほぼ煤が出なくなるというエンジンオイルを紹介。この画期的な商品「出光アッシュフリー」について、出光で話わ聞いてきた。  そして後半カラー特集では、本誌で毎号、その動向、性能を追跡取材してきた「カルサンe-JEST」。このトルコ製小型電気バスがついに、運行デビューを果たした。その地は長野県伊那市と栃木県那須塩原市。今後の活躍が期待される出発式を紹介する。