路線バスには、利便性・快適性を高めるべく色々な設備が用意されている。しかし中には、ごく当たり前のように使われていたハズなのに、言われてみれば最近見かけなくなったものも割とあったりする。
文・写真:中山修一
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■消えゆく設備で最も目立つ!?:方向幕
最近のバス車両ではめっきり見なくなった設備で、特に目立つ箇所の筆頭格といえば方向幕かもしれない。
いわゆる方向幕は、バス路線の目的地や経由地などを印刷したフィルムを巻物状にし、それを専用の装置にセットして上または下方向に巻き取り、表示したい行き先を切り替えていくアナログ式のタイプを指す。
昭和〜平成時代にかけて、バスの行先を示す定番の設備であったが、2000年代にLEDを使用した電光式の行先表示器が普及し始めると、入れ替わるようにしてアナログ方向幕は姿を消していった。
2024年現在、最初からLED表示器が付いた車両が“最古参”になってもおかしくない段階に突入しているため、方向幕はすでに超希少だ。
今のところ絶滅には達しておらず、1990〜2000年代初頭に作られた車両が、アナログ方向幕を掲げて依然頑張っている姿も、まだかろうじて一部地域で見られる。もし出会えたらかなりラッキーかも!?
■開けるのが結構大変だった:サッシ窓
バス車両の窓もまた、形状が大きく変わった設備の一つ。昔のバスでは「サッシ窓」と呼ばれるタイプの窓が普通だったが、最近のバス車両には使われなくなった。
サッシ窓は、通称の通りアルミサッシを使用した窓。2段構造で、窓枠の両端にホッチキスのような形をしたツマミがあり、握るとロックが外れ、下段の窓は上に、上段の窓は下にスライドする。
古い電車にもバス用と似た形のサッシ窓が広く使われていた。しょっちゅうツマミが半分壊れダメになっていて、それだと開けるのにえらく苦労したのは懐かしい思い出だ。
サッシ窓は1990年代までのバス車両に実装されていたが、ちょうどバリアフリー関連の対応が本格化した頃から、バスの窓は下段が完全に固定され、上段の小窓だけ左右に数センチ開く引き違い式へとシフトしていった。
窓から手や腕を出すと危ない、車体重量が増加する、パーツ点数が多い分コストがかかる、空調の性能がよくなり車内の気密性を高めるため等々、サッシ窓が使われなくなった理由はあれこれ想像できる。
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