ムサコはスルー!? 東急バス「川32」系統の乗りバス旅は府中街道をひた走る!!

ムサコはスルー!? 東急バス「川32」系統の乗りバス旅は府中街道をひた走る!!

 網の目のように広がるバス路線。廃止される系統もあれば、新しくできる系統も……東急バス「川32」系統は、2022年4月から運行が始まった、川崎市内を縦断する新進気鋭の路線だ。

文・写真:中山修一

■JR・東横・田都の駅をショートカット

川崎駅ラゾーナ広場が川32系統の出発点
川崎駅ラゾーナ広場が川32系統の出発点

 東急バスの新しい路線「川32」系統は、JR川崎駅の北口西の向かいにある、川崎駅ラゾーナ広場バスターミナルと、東急田園都市線の高津駅前約13kmの間を、東急東横線・目黒線の武蔵小杉駅前を経由して結ぶ。

 横線を3本引いて、下が川崎、真ん中は武蔵小杉、上が高津だとすると、それら横線に対して縦方向に線を引くような、ショートカットルートが取られている。

 川崎から高津まで、鉄道では大回りが必要なところをバスなら…と言いたいところであるが、JR南武線が川崎〜武蔵小杉〜武蔵溝ノ口の間で、同じような縦線を描く。川32系統の経路と南武線の線路の距離もそう離れておらず、見方によっては競合関係にある。

 東急田園都市線の川崎エリアの主要駅といえば溝の口であるが、ひとつ隣の高津を始点終点にしているのが川32系統のミソ。電車では乗り換えが必要なところをダイレクトに向かえる、痒いところに手が届く設定に思える。

■多そうで少ない? 超変則ダイヤ

 新しい路線に乗ってみるのも悪くない、と、川32系統を試してみるべく現地を訪問。川崎ラゾーナ広場が始発になっていて、時刻表を一見すると各時間ごとに数字がたくさん並んでおり、本数が多いように見える。

 ところが、よくよく確認してみれば、数字に小さく漢字が添えられている。「東」か「小」と書いてある便が高津まで行き、無印は途中の武蔵小杉止まりになっている。

 10時台に5本ある便のうち4本が高津行きながら、11時台になると4本中1本のみ、15時台は4本中0本などなど、割と変則的なダイヤが組まれている。フラっと行っていつでも乗れるバスではないようだ。

 当日は10時台の終わり頃に何も考えないまま訪れたが、ギリギリのタイミングで待ちぼうけを喰らわずに済んだ。ほとんどの東急バス(東急トランセ)と同じ、前から乗って後ろから降りる運賃前払いのスタイルで、終点まで行っても均一220円だ。

■王道・府中街道を往く

 停留所にやってきた、東急トランセの2012年式いすゞエルガに乗車して、川崎駅ラゾーナ広場を後にした。ロータリーを出てすぐ国道409号線に入るが、400mほど進むと脇にそれ、しばらく大回りをしながら走る。

 始発から約3.3km地点の合流ポイントで国道409号線に戻る。この区間は409号線と神奈川県道9号線が重複している。その後は409号がメインルートになり、いわゆる府中街道をひた走る形だ。

 4.2km地点に達すると、高架化が進む中で地上線の割合が依然高い、南武線の踏切と交差する。

公共交通機関の前を公共交通機関が横切る
公共交通機関の前を公共交通機関が横切る

 昼間でも10分おきくらいに出ている南武線の本数を考えれば確率も高くなるハズだが、それでも面白いように通過電車とバッティングして、踏切待ちをする路線バスの構図ができあがった。

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