■レジェンドなあの駅は今!?
名寄から121.9kmの地点に、かつて中湧別駅があった。当時この駅からはレールが3方向に分岐しており、その一つが名寄本線の支線だった。
中湧別〜湧別間4.9kmの路線で、鉄道時代には朝と夕方合わせて2往復しか列車が来なかったため、ファンの間ではなかなかレジェンドな場所として知られていたようだ。
1962年から89年の廃止まで「形だけ」の運行形態が27年も続いた名寄本線支線と湧別駅、その途中にあった四号線(しごうせん)駅であったが、今はどうなっているのかと言えば……
……湧別駅があった付近は消防署になっており、署の出入口近くに湧別駅を記念したモニュメントが置かれている。湧別バス停から300mほど離れた場所だ。
鉄道が通っていた時代も、遠軽〜紋別間と遠軽〜湧別間の路線バスが並行して走っており、急行便を除き、バスは基本的に湧別を経由するようになっていた。
鉄道廃止後に遠軽〜紋別間のバスに「代替バス」の肩書きが加わって35年が経った現在はどう変わったか?
急行便はなくなったが、北紋バス遠軽線と北海道北見バス湧別・紋別線、すべての便が湧別に立ち寄り、北海道北見バスは遠軽〜湧別間のバスを継続して走らせている。
■聞き覚えのある音
紋別行きのバスに乗車中ふと気づいたのが、なにやら聞き覚えのある降車ボタンの音。よくよく見れば車内シートの青緑のモケットも馴染み深い……このクルマ、出どころを察した。
まぎれもなく、乗っているのは元神奈中の車両。2005年式の三菱ふそうエアロスターのワンステップ車だ。
神奈中の車両が引退後に各地で再就職する例は割と見られるようで、乗車中「君は元神奈中だろ?」と気付く瞬間が結構楽しみになったりする。
■頼れそうな代替バス
湧別を出ると右に大きく方向転換、国道242号線をメインルートに、道なり・直球系の経路で行程を塗りつぶしていく。
遠軽までの所要時間はトータル1時間25分、運賃は1,330円。鉄道時代に紋別〜遠軽間合わせて15駅だったのに対して、バスの停留所の数は73(紋別空港ターミナル立ち寄り便のみ+1)箇所となっている。
沿線人口が比較的多いため利用はそこそこあり、長い路線バスでは珍しい全区間通し利用も、このバス路線ではごく普通のようだ。
2024年で35年目を迎えた名寄本線代替バス。乗り換えが必要かつ本数こそ決して多くはないが、無理をしなくても利用できる時間帯にバスがあるため、代替バスの中でも使いやすい。
ちゃんと時間帯を狙えば、名寄〜興部〜紋別〜遠軽を、その日のうちにバスで移動して、そこからJR線に乗り換えて更に先へ進むことも可能。
また、旭川起点で目的地を紋別にした場合、石北本線回りよりも一旦名寄に出て、名寄本線代替バスを利用して向かうほうが早く着けたりもする。
名寄本線代替バスは、一気に距離を稼ぐ移動主体の旅にも、エリアを絞ってゆっくり見て回る観光旅にも頼りにできそうな、大きな伸び代を感じる路線だ。
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