日本最大のスケールを誇る琵琶湖。なにぶん大きいゆえに、湖の周辺を移動するための公共交通機関が充実していそうだが、果たして!?
文・写真:中山修一
(琵琶湖周辺バス関連の写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■トーキョーがすっぽり入ります
滋賀県にある琵琶湖。日本最大の湖であるのは周知の通りで、その面積は約670平方km。イースター島(164平方km)を遥かに超えてグアム島(549平方km)よりもまだ広く、東京23区(622平方km)がまるまる収まってしまうほどの巨大さだ。
湖に沿って一周した際の長さも大胆なものになり、200kmあると言われている。朝の散歩がてら湖畔をちょっと一回りなんて紳士淑女の嗜みも、琵琶湖だと1週間あれば帰ってくるかな? というほどの大型アドベンチャーに化けてしまう。
それだけ広いのだから、琵琶湖の周辺を移動するための公共交通機関は当然用意されている。言わずもがな筆頭格に出てくるのがJR線だ。
■電車だと1周何時間?
鉄道では、琵琶湖の周りをJR湖西線、北陸本線、東海道本線が通っている。例えば大津を起点に電車で琵琶湖を1周しようとすると、うまく繋がれば最速で乗り換え1回・およそ3時間半で行って戻って来られる計算だ。
特急並に速い新快速の恩恵をフルに受けると、200kmという距離をものともしないスピード感。本数もそこそこ出ており、電車で琵琶湖1周は拍子抜けするほど簡単だったりする。
しかしここで気になってくるのが、やはりあの乗り物・路線バスである。電車ほど速くないのは想像に難くないが、問題は琵琶湖のほとりを沿って走るようなバス路線が存在するかどうか、だ。
■行くだけ行ってみた
なにしろ電車が最高の救済措置になってくれる場所ということで、あまり詳しく調べないまま、大津駅をスタート地点にして、時計回りにバスで琵琶湖を1周できるか、とりあえず確かめるだけ確かめに行った。
結論から申し上げると、大津駅から15kmほど進んだ先にある、堅田駅のバス停で無事撃沈され、さわりの部分だけで負けた。
はじめの大津駅〜堅田駅間に関しては、1〜2時間に1本のペースで出ている、江若交通バスの103系統が直通しているため、1本乗るだけで簡単に行ける。所要時間は約40分で、運賃は550円だ。
■スムーズなのは本当に最初だけ
103系統で15kmも移動できるとあって「お、これ行けるんじゃね?」と安堵しようものなら、それがヌカ喜びだと堅田に着いてすぐ思い知らされる。
堅田駅から先は、湖に沿って進む路線バスは一切なく、湖畔から10kmほど離れてしまうのだが、細川という所まで向かうバスを使うことになる。
この細川方面のバス時刻表に目をやれば、土休日の8時台の列に「50」という数字が1個しか書かれていなかった。平日に行ったので、例え始発で出発していても、早起きして損するだけだったらしい。
わざわざ路線バスで琵琶湖をグルっと回ろうなんて、きっと悪い夢を見ていたんだ。この日はそそくさと電車に乗って、別のテーマを探しに行った。
■答え合わせしてみると?
後日、家に戻ってから、ちゃんと調べれば琵琶湖1周(時計回り)も無理なくできるのかを、一応念のため確認しておいた。
昔は長い距離を走るバス路線があったのかも知れないが、今は全然バスが繋がらず、合わせて15kmくらい徒歩連絡を挟むなら、何とか米原のあたりまでは到達できるようだ。
意外すぎたのは米原から先。電車では結構混む区間でもあり、並行して走る路線バスがありそうなイメージだったのだが、路線バス自体が運行されていないエリア多数と、現実は真逆。
また、予約制のデマンド乗合タクシーを使わないとダメな区間が存在し、さすがにタクシーと銘打っている乗り物になると、路線バスで行く趣旨から外れてしまう。
一方で乗り換え検索を使うと、米原駅→大津駅を、高速バス利用で京都を経由するプラン“しか”出てこなかった。それだと琵琶湖から離れるのも大概にしとけ、という話になってくる。
点在しているコミュニティバスと徒歩連絡を繋ぎ合わせれば、湖の近くに沿って移動可能かもしれない。それをやるには、刻んだ長ネギを元に戻すくらいの労力が要りそうだけど……。
とどのつまり2024年6月現在、琵琶湖を路線バスで1周するのは「ほぼ無理」と考えておくのが無難らしい。
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